去る2月7日より10日まで、東京都文京シビックセンターギャラリーで、日本書道史上初の「今造(あたらしき)古典」第一回現代甲骨文書道魁展が開催された。日本甲骨文書芸研究・表現第一人者、書道家・篆刻家張大順氏(日本甲骨文書道研究会代表)は日本の書道界に向けて「今造(あたらしき)甲骨文書道古典」を創ろう、と呼び掛け『東京宣言』を発表した。
甲骨文は3500年前の中国にて、亀甲獣骨に刻まれた文字で、漢字の始祖でありながら、原始的な書の芸術の濫觴でもある。1899年に発見されてから、百年の時を経て、いま書壇において一つの古くて新しい芸術表現形式となってきている。
『東京宣言』では、「甲骨文は、それ自身の歴史、文字造形、刀筆融合の特徴により、本質的に言えば秦漢以来晋・唐・宋・元・明・清の書の流れの中に形成された文人書道(或いは伝統書道)の根源である。一方、その文人書道(或いは伝統書道)とは全く異なる独自の用筆・結体・書式を持つ一種異質的なジャンルだと認識しなければならない・・・。しかし、この認識は今日、日本書壇に於いても完全に理解されておらず、甲骨文で作品を表現するということはまだまだ普及していないというのが現実。たとえ多少携わっていても、まだ今迄の秦篆、漢隷、唐楷等の書体から培われてきた漢字に対する感覚及び表現方法で当たり前に使われている。この根本的な間違いを解決しなければ、本質的な甲骨文書道をすることが出来ないと言っても過言ではない」と張大順氏は指摘している。
そのうえ、張大順氏は強い自信で「東京から始まろう!」と、日本書壇に大きな期待を寄せていることを語られた。『東洋文化圏に於いて、日本民族は最も漢字文化を継承、発展させた民族であり、その上世界唯一の仮名文字と仮名書道芸術を作り出した。この素晴らしさを再認識する必要がある。同時に、今日国を問わず皆同様に甲骨文書道発展のスタートラインに立っていることを自覚し、これから研鑽精進をし、甲骨文の本質的な書の道を模索しながら日本民族特有の美意識(わび、さび)と表現形式(仮名と甲骨文との融合)により、「今造(あたらしき)甲骨文書道古典」を世界に発信することができる』と、これから日本甲骨文書道発展のビジョンについて情熱溢れていた。(人児 文 千代輝 写真)