今、中国では、湖南が熱い!あるプロ野球チームの新任監督が「熱いぜ!○○○(そのチームの名前)」をスローガンにしているが、それを借りれば、「熱いぜ!湖南」というところなのである。特に湖南省の経済の発展、企業の勃興が、今中国で注目を浴びているのだ。
普通、日本人にとって、「中国」と言えば、「北京、上海」だろう。もちろん、北京、上海は重要だ。しかし、それだけが中国なのではない。改革開放後三十数年、新しい時代の進展に伴って、商業会議所という新しい形を力として、湖南省の商人が、企業が、発展を遂げているのである。
湖南省と言えば、清朝の元老曾国藩、中華人民共和国の建国者毛沢東、そして経済発展の推進者朱鎔基前総理の出身地である。彼らに連なる文化的伝統をバックボーンとした湖南商人が、今、日の出の勢いで活躍しているのだ。
では、その文化的伝統とは何か?詳しくは本文に譲るが、簡単に言えば、社会への貢献を中心とした義と実利の双方を追求するということだ。ここらへんは日本企業にも通じるのではないか。企業である以上、利益は追求しなければならない。しかし、それは反社会的なものであってはならないのである。湖南企業と日本企業が交流すれば、互いに得るところがあるだろう。
また、商業会議所という形態を活用していることも注目に値する。市場経済制を導入した14億人の市場は、「政府と人民」という概念だけではもはややっていけなくなっている。そこに商業会議所という社会的な団体が必要になってくるわけだ。本文にもあるように「小さな政府、大きな社会」という方向に転換せざるを得なくなっているのである。そのような団体の誕生は、今後の中国を考えていくうえで大いに注目すべきである。
多田敏宏