11月29日午後、東京都千代田区イイノホールにおいて、中国総合研究センター(独立行政法人科学技術振興機構)主催による緊急シンポジウム「中国新体制下での日中関係」が、関係者、報道関係他500名以上参加のもと開催された。
尖閣諸島の領有権をめぐり、日中関係は国交正常化以来最悪となっています。中国では、習近平氏をトップとする新体制の下でどのように日中関係の再構築が図られるのか、専門家による提言とパネルディスカッションで方策を探ります。
特に日中の経済関係に与えた影響について実証的に検証、評価し、今後の関係打開を探ります。
開会挨拶で有馬朗人アドバイザリー委員長(東京大学総長、文部大臣、科学技術庁長官などを歴任)は「国交正常化40周年の間に中国の科学技術力の発展は目覚ましく、今や中国は科学技術国、教育国となっている。これからはアジアの時代。日本、中国、韓国、インド、ベトナム、シンガポール等で科学技術共同体を作り世界に貢献していく必要がある」と述べた。
第1部では、高原明生東京大学大学院教授による「党大会後の中国政治と日中関係」、服部健治中央大学大学院教授による「日中経済関係の新局面と日本企業の対応」、大西康雄JETROアジア経済研究所新領域研究センター長による「転機の中国経済と日本」の基調講演があった。
その後のパネルディスカッションでは、「尖閣問題と日中経済関係」「グローバル経済と日中関係」「新体制下での日中関係再構築に向けて」をテーマとして、大西康雄氏(JETROアジア経済研究所新領域研究センター長)、柯隆氏(富士通総研主席研究員)、川口清氏(敏実集団有限公司)、瀬口清之(キャノングローバル戦略研究所研究主幹)、服部健治(中央大学大学院教授)、モデレータ加藤千洋氏(同志社大学大学院教授)により活発な意見交換がなされた。
日中間で最悪な状況となっている領有権問題、それに伴う経済問題、文化、青少年、観光などの交流の停滞問題に対し、新たに誕生する日本の政府指導者は、関係修復にその力量と良識が問われる。世界第2位と第3位の経済大国の協力なくして世界経済の立て直し、アジアの新時代は望めない。