提携:中国の良書不足解消へ 豊島の日本僑報社と中国政府系の出版社、翻訳・出版事業で /東京
毎日新聞 2013年09月14日http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20130914ddlk13020283000c.html
日本の書店で販売されている中国関連書籍には現代の中国の良書が不足しているとして、豊島区西池袋の中国関連書籍出版社「日本僑報社」(段躍中(だんやくちゅう)編集長)は13日、北京で中国政府系シンクタンク、中国社会科学院の出版部門「中国社会科学出版社」と翻訳・出版事業で提携することで合意した。
中国社会科学出版社は、日中関係をはじめとする人文・社会分野の学術書を数多く出版している。日本僑報社の翻訳部門が今後、社会科学院の研究成果の一部を選んで中国語から日本語に翻訳し、日本の書店で販売する。この日は段編集長(55)ら関係者が社会科学出版社を訪問し、相互の出版目録を交換した。
1999年に設立された日本僑報社はこれまで、日中関係に関する本を240冊以上出版。9月にも、日中間にまたがる誤解を埋め合わせようと、中国や台湾などに駐在する日本メディア関係者らが寄稿した本「日中対立を超える『発信力』」をまとめた。
段編集長は、日本の書店で並ぶ中国関連の本には中国を批判する刺激的なタイトルが多く、「本当の中国の姿が伝わっていない」と常々感じてきた。中国では良書が数多く出版されているが、日本語に訳されているのはごく一部で、中国や中国人が誤解される一因となっているという。
中国でも、村上春樹氏らの人気小説は発売後間もなく中国語に訳されるが、「売れる本」が優先されているのが実情で、日本の良書の中国語訳本を増やすよう中国側に働きかけていく。社会科学出版社の曹宏挙(そうこうきょ)副総編集長は「両国関係が難しい今こそこうした活動が重要だ。できる限り協力したい」と語った。【北京・工藤哲】 【都内版〕