1月15日、日本僑報社・日中交流研究所は今年の「中国人の日本語作文コンクール」の実施要領と募集要項を発表した。10回目を迎えた今回は、近年の日中関係を考慮した上で、なおかつ両国の相互理解を深めるものをとして「ACGと私――なぜ中国の若者が日本のアニメ・漫画・ゲームに魅かれるか」「公共マナーと中国人――国際会社で活躍する中国人に求められる公共マナーとは」という2つのテーマが選ばれた。
「ACG」とは近年、中華圏で主に日本のアニメ・コミック・ゲームを総称する言葉として広まっている。テーマは選択可能である上、1人につき応募数の制限はない。
この日本語作文コンクールは、日本僑報社日中交流研究所が主催。日本の外務省と日中友好会館など日中友好7団体、また中国・北京の在中国日本国大使館、中国中日関係史学会、中国日本友好協会、中国日本商会、北京日本人会などが後援。株式会社ドン・キホーテ、安田奨学財団、朝日新聞社、東芝国際交流財団が協賛して行われる。
このテーマが選ばれたことについて、主催者の日中交流研究所の段躍中所長は、次のように述べている。
「いま、日本と中国の関係は、領土問題や歴史認識等をめぐる政治的な軋轢により、決して円満とはいえません。このようなときに、中国の若者たちに日本の『ACG』が受け入れられ、愛されていることは、両国の未来にとって大きな希望といえます。日本人と中国人の双方が、新たな『ソフトパワー』による相互理解を深めていくために、『ACG』を通じたあなたの日本への思いを伝えてください」
「世界第二の経済大国として、中国が存在感を増しつつあるなかで、『公共マナー』が国際社会の中でのイメージの形成に大きな影響を与えることは言うまでもありません。私たちは、どのようなマナーを身につけることが求められているのでしょうか。中国人の行動の背景にある考え方や文化、社会、環境の特性を生かしながら、私たちがマナーを守りつつ、真に国際人として生き生きと活躍していくための提言を歓迎します」
第10回中国人の日本語作文コンクールへの応募資格は、日本への留学経験のない中国人学生。最優秀賞(日本大使賞)1人のほか、1等賞、2等賞、3等賞に合計60名、さらに佳作賞に50名が授与される予定。最優秀賞受賞者は日本に1週間招待される。また受賞作は作品集として書籍にまとめられ、日本僑報社から出版される。
作文の応募形式は電子メールで、文字数は1500字から1600字まで。5月12日から受け付け、5月31日締め切り。その他、詳細は主催者のウェブサイトを参照のこと:
http://duan.jp/jp/2014.htm
中国人の日本語作文コンクールが始まったのは2005年、今年で10回目を迎える。コンクールでは受賞者が選ばれるとともに、受賞作は作品集にまとめられ、日本僑報社から出版される。
これまでに出版されたコンクール受賞作品集である『日中友好への提言2005』『壁を取り除きたい』『国という枠を越えて』『私の知っている日本人』『中国への日本人の貢献』『メイドインジャパンと中国人の生活』『甦る日本 ! 今こそ示す日本の底力』『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』『中国人の心を動かした「日本力」』の9冊の受賞作品集は、出版後、日中両国で大きな反響を呼んだ。
とくに『壁を取り除きたい』は朝日新聞の書評委員により2006年の「お薦め 今年の3点」の一つに選ばれた。また『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』は2013年2月24日付読売新聞に、東京大学の須藤靖教授の書評「相互理解に様々な視点」が掲載された。