本日検索で分かった、書評を書いて下さった方にお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
以下は書評全文です、転載させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
旭日大綬章を天皇陛下から直接授与された唯一の中国要人がまとめた中日重要関係史、と表紙に書かれた本書。徐福から始まる2000余年の両国関係史を年代記の形でコンパクトにまとめている。何を取り上げどのように記述しているか、そこに著者の価値観が示されていて興味深い。たとえば淡々と書かれた記述の中で日中戦争の戦犯について触れた部分。著者は、「ここに特に指摘しておくべきは、日本政府自身は、如何なる戦犯を裁いたこともなく、彼らがアジア各国、アメリカ、そして日本国民に対して行った罪も清算することもなかったことである。このことは、その後、日本の右翼勢力と軍国主義者たちが侵略の歴史に対して反攻・清算を行う上での伏線を張ることになった」とさりげなく書いている。安倍首相が尊敬してやまない岸元首相はA級戦犯容疑で収容されたが、反東条の姿勢が評価され不起訴になり、総理大臣にまで登りつめた。ここに日本政府、それを許してきた国民のどうしょうもなさがあるのだが、もちろん著者はそんなことは書かない。だががっんと一発、胸が痛くなるところである。なお著者が日本政府から『旭日大綬章』を授与された経緯が書かれている。著者が長年にわたり日中経済交流を促進する上で果たした役割、その功績を否定するものではまったくないが、勲章というものが日本の社会でどのように機能しているのかその意味を考えると、ここは正直なところ違和感を覚えずにおられなかったことを記しておきたい。