滔天会(世話人代表:宮崎蕗苳)主催の文化講演会は、6月17日午後東京品川区にある南部労政会館にて行われた。五十川倫義・朝日新聞論説委員・前中国総局長は、「日中関係の行方-相互理解の難しさ」をテーマに講演した。
〔講師紹介〕
五十川氏は若き留学時代を含め、北京支局員、中国総局長と三度も北京に長期駐在。天安門事件直後から、実力者・鄧小平統帥下の江沢民時代、さらに胡錦濤時代への推移をつぶさに観察。その間、ハーバード大日米プログラム研究員として、今後の国際情勢の一大機軸となる「米中関係」と日米、日中関係の動向分析を探求。中国総局長離任後は本社論説委員に就任。日本国際問題研究所特別研究員も兼務して現在に至る。
“チャイナ・ウオッチャー”として、現在の朝日新聞社を代表する記者の―人である。今回の講演に当たり、彼自身の選んだ演題について、次のようなメッセージを寄せている。
[メッセージ〕
冷え込んだ日中関係。9月の小泉首相退陣で新局面を迎えるが、関係改善に向かうかどうかは微妙。首相の靖国参拝が大きな鍵を握るが、他にも難題が満ちている。不透明なままの中国の軍事力拡大を危険視する米国は日米同盟の強化を図り、日本国内の支持も大きい。一方、中国国内には日本問題が党内の主導権争いに利用されがちで、来年の第17回党大会を控えて、大きな動きほとりにくい事情もある。悪化した日中双方の国民感情が回復するにしても時間はかかる。 日中の根本に相互不理解がある、との声が噴出しているが、相互理解は可能だろうか。胡錦濤主席の懐刀、鄭必堅・改革開放フォーラム理事長は、朝日新聞との会見で、日本の戦後の平和努力を賞賛し、平和の道を歩み続けるよう求めた。日本の再評価は広がるか。歩み寄るきっかけとなりうるか。
写真は会場の一角。by段躍中(無断転載禁止)