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2 日本人に見てもらいたい「中国人の日本語著書展」--川口の段躍中さん宅 /埼玉
1996/ 04/ 09毎日新聞 地方版p.11 814字
◇中国人の日本観が見えてくる
中国人留学生が日本語で書いた著書約150冊を一堂に集めた「中国人の日本語著書展」が川口市芝5、大学院生、段躍中さん(38)の自宅で26日から開かれる。翻訳ではなく、直接、日本語で書いた著書だけを集めたユニークな展示会。「同胞がつづった本からは、中国人の日本観が見えてくる。多くの日本人に見てもらいたい」と話している。
段さんは北京の全国紙「中国青年報」で新聞記者を勤めていたが、1991年に日本に留学、現在は「中国人と日中関係」を主なテーマに新潟大大学院現代社会文化研究科で研究している。
段さんは留学後、書店や図書館で目にした本の中に、中国人が日本語で書いた著書が多いことに驚き、タイトルをノートに書きためてきた。そうするうちに数十冊にもなり「こんなにあるのは珍しい」と研究を始めた。
出版社に刊行物の提供を依頼したり、著者に頼んだりして集まった本は34年に出版された中国人の日本語詩集をはじめ、留学生が日本語で書いて日本の出版社で出されたもの、中国語で書いて日本の出版社が翻訳出版したものなど約150点。ジャンルは日本語学、小説、経済など多岐にわたる。絶版になった本もあり「国会図書館の目録にないものがある」という。
段さんによると、中国人の日本留学は1886年に始まり、終戦直後に途絶えたが、1972年の日中国交正常化で増えてきた。特に中国政府による改革開放政策が打ち出された79年以後、普通の中国人も自費で日本に留学することも多くなり、現在、日本に留学している外国人留学生のうち4割以上は中国出身者で占められているという。
段さんは「魯迅など中国が誇る世界の一流文学者は日本で長い留学生活を送ったが、日本語で書いた単行本はない。日本語で著作を書いている現代中国人が、日中文化交流の新しい一ページを開いたといえる」と話している。30日まで。電話048・268・6946(現在TEL 03-5956-2808 FAX 03-5956-2809)段さん。(藤後野里子)