18日午後、映画『呉清源 極みの棋譜』の試写会が東京・銀座にて行われた。80年前に福建省からやってきた囲碁棋士・呉清源氏の人生を描いた一本である。
囲碁をたしなむ人でなくとも、呉清源の名前を聞いたことがある人は大勢いるだろう。昭和の棋聖と呼ばれ、木谷實とともに「新布石」の創始者である。
呉氏は福建省に生まれ、1928(昭和3)年に14歳で来日する。その後、昭和の囲碁界で一時代を築き、93歳を超えた今なお、日本で囲碁に向かう人生をおくっている。
福建省の日本のイメージは、今でもあまり良くないのではないか。そう思っている人に見てほしい。「戦争」や戦後の厳しい時代、福建から来日し、80年にわたって日中の歴史の中を生きてきた呉氏。後輩として敬意を払いたい。
つい、先日、福建省社会科学院訪日団が日本僑報社の招聘で来日した。日程があわず、直接『呉清源』を見ることは出来なかったが、映画を見ることが出来たなら、様々な刺激を受けただろう。
呉氏の歩んだ道を通して、昭和が日中にとってどのような時代であったのか、日中国交正常化35周年の今年、これからの日中交流のあるべき姿を考えることができる。価値ある一本。
11月17日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー。
公式サイトhttp://www.go-movie.jp/
友人の岩城浩幸・TBS解説委員が作った関連番組「八十年目のメッセージ~棋聖と日本と中国と~」を推薦します。http://www.tbs.co.jp/houtama/