5月25日付の読売新聞の社説欄に、[中国副首相帰国]「最低限の国際マナーに反する」が掲載された。その中にあった「会談では、中国側の要請にこたえて、首相が中国人団体観光客への査証(ビザ)発給地域拡大を表明するはずだった。」について、一言言いたい。
「中国側の要請にこたえて」という文面からなにが読みとれるかを考えるべきだ。中国人団体観光客をできるだけ多く受け入れることは、日中相互理解に大変有利なだけでなく、日本の観光立国と経済発展にもつながる。多くの中国人が日本に来て、自分の目で確かめて、自分の身で日本文化を体験することは、マスコミの報道よりはるかに効果があるではないか。中国側は中日相互理解交流を促進する方法の一つとして考えているが、そのような「要請」に何の問題があるだろうか。小泉さんが予定していた中国人団体観光客への査証(ビザ)発給地域拡大の表明は、中国人に対する「恩恵」と思われたら、大変残念だ。
日本政府が中国人観光客を受け入れたくないのは、不法滞在者が生まれることを懸念しているためである。実際にこの数年の結果から見て、毎年数十万人の中国人観光客のうち、一体どのくらいの人が不法滞在者になっただろうか。それから、不法滞在者になった元観光客が、日本で犯罪を犯していることは確認できただろうか。少なくとも私の見た報道によれば、観光客から不法滞在者になった人はこの数年来、数百人しかおらず、犯罪を犯した人も聞いていない。
やはりこれからは、中国人観光客をもっと多く受け入れるべきである。日本の美しい自然や独特の文化を体験してもらい、多くの来日できない中国人に直接日本の様子を伝えてもらうことは、日中相互理解の促進につながることだ。日本人の皆さんにも、理解と努力をお願いしたい。
by段躍中(2005.05.25)