ご紹介いただいた本のうち、『
上海版歴史教科書の扼殺』、『「
氷点」停刊の舞台裏』、『「
氷点」は読者とともに』の3冊を読み終えました。
読み終えて、留学時代に見たいろいろな理不尽な出来事を思い出しました。公安に殴られる露天商や、道路拡張で強制的に店を壊される商店や・・・。彼らからいろんな権利を取り上げて放置し、あらゆる活動に制限を設け続ける中国政府に改めて怒りがこみあげました。「中国の庶民は、なぜここまで耐えしのばなきゃいけないのか。政府はなぜ自国民にここまで屈辱的な仕打ちができるのか」と思います。ロケットやオリンピックは確かにすばらしいし、きっと民衆に大きな夢と希望を与えたでしょう。しかし、そのおまけに付いてくる「だから政府を支持しなさい」という交換条件に応じるのは、あまりに人がよすぎると思うのです。でも、私の目には多くの中国人がそれを受け入れているように見えます。
政府が本当に国民に与えなければいけないのは、そんな一時的な栄光ではなく、基本的人権(生存権、言論の自由)や、高度な社会インフラ(法的、物理的)のはずです。これが保証されれば、国民は本当の意味での“中国人としての誇り”を自然に感じるのではないでしょうか。国民からあらゆる権利や自由を取り上げて屈服させているばかりか、そういった状況を長引かせることで世界からの非難を招き、「中国の国家としての尊厳」を傷つけ続ける今の政府を、中国国民は、マスコミは、黙認していていいのかと強く思います。
私が留学時代付き合った中国人の学生たちは、本当に魅力的な人たちばかりでした。やる気にあふれて、とても若者らしく、また、学ぶことにどん欲で、天真爛漫で、無邪気で、気さくな人たちが多かったです。そんな彼らから自由の羽をもぎ取り、押さえつける政府の理不尽さに、単純に腹が立ちます。そういう意味では、中国のマスコミも被害者なのかもしれませんが(私の復旦時代の同級生で、解放日報の記者になって、報道の限界を感じて絶望して辞めた人もいました)、だからと言ってあきらめずに戦いつづけてもらいたい、と改めて思いました。