
泉京鹿さん訳の『水の彼方』が講談社より刊行となり、作家×ミュージシャン×女優であり、中国のスター、「田原」氏の作品が日本に紹介されました。
内容は、中国80后(80年代生まれ)のやるせなくもせつない10代の破片と、静かに崩れていく少女の心を鮮やかに紡いだ、美しくて残酷な幻想的青春小説です。
本書の一部を引用いたします。ご恵贈ありがとうございました。
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自分たちの居場所は、いったいどこにあるのか。どこでもいい、ずっとずっと遠くへ行こう。幼なじみの少年と少女は、月に向かってどこまでも落ちていく……。
水莽は、毒草なり。葛のごとき蔓が生じ、花は紫であずきに似る。誤って食すれば、たちまち死して、水莽鬼となりき。この鬼 輪廻転生かなわず、ふたたび毒にて死するものあれば、これにとってかわるべし、という。――『聊斎志異』「水莽草」
高校時代、誤って水莽草を食べてしまった私は、表でもなく裏でもない、ふたつの世界の間に閉じこめられてしまったのです。――田原
『双生水莽』という原文のタイトルそのままでは、日本人にピンと来ないだろうということで…(中略)『水の彼方』にすんなりと決まった。「彼方」…向こう側、遠く離れた過去、未来、あるいは何かに隔てられて見えないところを指し、「彼岸」にも通じるこの言葉は、確かにこの物語にふさわしかった。
――泉京鹿(あとがきより)