6年前、平成11年に東京都北区日中友好協会の講演会の講師をしてくれた齊藤孝治氏が、この6月に新著を出版したところなのです。
齊藤氏は自分が中国・長春で生まれたこともあり、常に日中現代史の中を生きた人間を注視しています。6年前は、中国国歌の作曲者・聶耳の生涯を綴った「聶耳-閃光の生涯」の出版を受けての講演でした。今回は、日本に留学、日本人女性と結婚し、新中国建国後は政務院副総理兼文化教育委員会主任、中国科学院院長、中日友好協会名誉会長、全人代常務委員会副委員長、全国政協副主席という重職を歴任した文人政治家・郭沫若と日本人妻の生涯を描いています。
また、1955年に中国科学院学術視察団長として来日し齊藤氏の母校・早稲田大学で講演を行なったのが齊藤氏が一年生の時だったとのこと、一言も聞き逃すまいと拝聴したそうです。「まず中国人が皆さんにお詫びしなければならないのは、六百七十年ちょっと前の出来事です。」と、先ず元朝の日本侵略について触れ、それから日中戦争について言及、最後に「不愉快な思い出は永遠に過去のものとし、愉快な思い出を永久に残して行きましょう!」と、原稿無しの即席の講演を結んだそうです。齊藤氏は、その講演を「謙虚で惻隠の情にあふれ、熱っぽかった」と振り返っています。国交回復前、周恩来とは二人三脚だったという郭沫若率いる学術団体の25日間の訪日、齊藤青年にとってかなり感動的だったようです。
日本人妻・佐藤をとみとの間に4男1女をもうけながら、動乱の時代のことではあり、中国にも2人の妻…
書名: シュトゥルム・ウント・ドランク -疾風怒涛- (上)(下)
著者: 齊藤孝治
編集・発行:シュトゥルム・ウント・ドランク 編集出版委員会
代表委員;長谷川現道、松本克、大塚寿美枝
著者の一言:
過日、1935年夏、神奈川県藤沢の海岸で若くして不慮の死を遂げた中国国歌の作曲者、聶耳の生涯を綴った「聶耳 閃光の生涯」を上梓しました折りにはいろいろ反響もあり、ありがとうございました。
さて今般、知人友人らの暖かい心尽くしによって「シュトゥルム・ウント・ドランク-疾風怒涛-」を世に問うことになりました。
同書は、日中戦争を挟み、日本と中国の間で波乱に満ちた人生を送った中国の文人政治家、郭沫若と困難な状況下、日本人でありながら愛憎織りまぜて苦難を共にした佐藤をとみとの関わりを中心に二人にあやなした日本人、中国人、そして彼らが生きた時代を描いたものです。
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上梓にあたりましては6年余の歳月をかけました。日本、中国を問わず、関係者に何度も会おう、をモットーにそれなりに努力したつもりです。
今、日本と中国の関係は、最悪の事態に陥っているといっても過言ではありません。彼らの生き様を通して両国の行く末を考える一助になれば、と思います。 ――齊藤孝治――
サイズ: 四六判二段組み
頒価: (上) 623頁 4,500円 (下) 502頁 4,500円
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時を追うにつれ活字離れが進むこの時代、珍しく大部な本ですが、1914年に来日し、東京、岡山、福岡、熊本、市川と足跡を残した中国現代史の大立者と日本人妻の生涯は、読み出の有るものです。