日本僑報社が2004年に刊行した『ゴッドギャンブラー』は、お陰様で好評発売して参りました。この度、増刷に当たって、訳者の青木まさこ氏が「スタンレー・ホーの2010年」を寄せて頂きました。増刷版は5月下旬に発売される予定である。
4人の妻(本妻は逝去)と17人の子供(長男は逝去)がいるホーは88歳になった。米寿を迎えた今日も健在である。
2009年7月31日、ホーは寵愛する第4夫人の自宅で転倒し、頭を強打して香港の病院に運ばれた。第4夫人がちょっと目を離したすきに起こった出来事だったという。一時は死亡説も流れ、香港のマスコミは連日、見舞いにやってくる夫人たちや子供たちの様子を伝えた。その後、2009年12月20日に行われたマカオ返還10周年記念式典に、突然ホーは車いす姿で登場し、終始笑顔で手を振って健在ぶりをアピールした。その姿に心を打たれた胡錦涛は、自らホーに声をかけ握手をかわしていた。ホーはやはり不死身な男だったのである。
ホーの健康の秘訣は、毎日8~10時間は必ず睡眠をとることと、毎日スポーツをすることだそうだ。健康補助食品だけに頼ることはせず、朝早くからスイミングをし、週2日はテニスを楽しむという。また、秋から冬にかけては、夜夫人たちの家に通わず、自分の部屋で一人寝をするのも長寿の秘訣だという。
第1、第2夫人はマカオが一夫多妻制を廃止する1970年代前の婚姻なので合法だが、第3、第4夫人は厳密にいうと法律上の保証は一切ない。
最近は第4夫人の家で過ごすことが多いという。1960年生まれの第4夫人の梁安琪は、元は広州からマカオに来た出稼ぎ娘だった。ダンスが上手だったため、ダンスができない第2、第3夫人の代わりにホーの相手を務めているうちに恋に落ちたという。彼女は3人の息子と2人の娘を産み、一番小さい娘はまだ9歳だ。
中国共産党は2002年にホーの賭博独占体制を崩し、複数の業者に経営権を与え、競争原理を導入した。ホーは不満をこぼしながらも、老身に鞭を打ちながら、熾烈な戦いに敢然と立ち向かった。大競争が功を奏し、今やマカオの賭博収入はラスベガスを抜いて世界一になった。ホーの事業も大成功を収め、賭博王の地位を不動のものにした。ホーは共産党の市場経済改革に脱帽したという。
ホーは3人の妻と16人の子供たちに、どうやって財産を分けるつもりなのだろうか。後継者には誰を選ぶのか。高齢になった賭博王の進退に注目が集まっている。