
6月26日に開催された国際客家文化協会年次シンポジウムから確認した情報によると、国際客家文化協会副理事長でもある東京都立大学(首都大学東京)の渡邊欣雄教授、「中国民俗学会傑出貢献賞」を受賞した。詳しく報道は次の寄稿をご覧ください。by段躍中(無断転載禁止)
2005年2月、北京で開かれた中国民俗学会主催の国際シンポジウムにおいて、計10名の外国の研究者に「中国民俗学会傑出貢献賞」が授与された。10名の内訳はアメリカ3名、ロシヤ1名、韓国3名、日本三名であった。国際客家文化協会副理事長でもある東京都立大学(首都大学東京)の渡邊欣雄教授も受賞された日本の学者の一人である。
「中国民俗学会傑出貢献賞」は、2003年11月に北京で行われた中国民俗学会成立20周年記念大会の際に設立されたもので、1回目の受賞者は国内の学者中心だったが、今回は2回目であり、中国の民俗学、文化及び伝統などを研究し、優れた研究結果を上げられ、その上長年に亘り中国民俗学界との学術交流に多大な貢献をされた外国の研究者10名に授与されたものである。
渡邊欣雄教授は、著名な沖縄研究者であり、いろいろな受賞歴もおありの方である。二十世紀七十年代末から、台湾を始め華人社会及び中国本土で長年に亘ってフィールドワークを行った渡邊教授は、漢族の文化・信仰及び風水思想の深層を鮮明に論究され、多くの著書を執筆し、中では『漢族の民俗宗教』は大陸と台湾で翻訳・刊行され、多くの中国研究者に影響を与えている。
中国への訪問及び調査の際には、疲れも省みず各地の大学や学会で講演し、各レベルでの学術交流に力を注いだ。さらに、渡邊教授は中国出身の留学生を数多く引き受けて育て、また海外への学術訪問がなかなかできなかった時代から、中国の学者を日本に招待し、共同研究など種々の学術交流を行ってきた。現在、中国の民俗学界、人類学界において、日本人研究者渡邊欣雄教授の名がよく知られている。
今年の3月に渡邊教授が仕事のために再度北京を訪れた際、中国民俗学会は渡邊先生のために、特別な授賞式を行ったのである。写真は、中国民俗学会の理事長、中国社会学院の劉魁立教授と渡辺教授の受賞式での記念写真である。
中国の民俗学研究は、長い歴史を持っているが、戦争や政治運動などの影響で学会活動が中断した期間もあった。1983年5月に現代民俗学の組織として、「中国民俗学会」が北京で設立され、初代理事長には鍾敬文教授が就任されていた。1999年5月、行政上の年齢制限により、鍾敬文氏が理事長を退任し、第二期の理事長として、中国社会学院の劉魁立教授が就任され現在に至っている。
二十一世紀に入り、民俗学も新らしい局面を迎えた。中国民俗学のシンボルとされていた鍾敬文氏は、二十一世紀の中国民俗学は大きく発展しなければならないと主張しているが、残念なことに2002年1月に、99歳のご高齢でこの世を去った。
いままでの民俗学研究の蓄積をいかに活用し、中国の民俗学はどのような方向へ進むべきなのか、また中国の民俗学研究をいかに世界水準に近づけ、海外との学術交流を展開していくかなどが、まさに重要且つ緊要な課題となっている。初代理事長の遺志を引き継ぎ、中国民俗学会は海外との学術交流に力を入れ、その一環として「中国民俗学会傑出貢献賞」を海外の学者にも授与したのである。
渡邊教授は中国研究、漢族研究、民間宗教、風水理論研究など数多くの優れた研究成果により海外の学会から賞が与えられたのである。渡邊先生の受賞を機に、日中の民俗学、人類学の交流がより一層親密なものとなることを祈念致すと共に、客家文化を含め多文化の研究に力を注いでいる皆様の今後のご活躍を心よりお祈りする。
国際客家文化協会副理事長、事務局長
中国民俗学会 副秘書長
都立大学・首都大学東京 助教授
何彬