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日本僑報電子週刊 第494号【号外】 2005年7月27日(水)発行
http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
■段躍中日報 http://duan.exblog.jp/■
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中国の対日不信感を払拭するために何ができるのか
―戦後60周年 日中友好の課題―
2005.5.18東京・共同通信社での講演記録
段 躍 中
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◆目次◆
一、中国国民の対日感情―4月のデモを検証しながら
二、政府レベルでの日中関係
三、提言―対日不信感を払拭するために何ができるか
日中友好活動を支援するための専門の財団の設立
「戦後日本」を中国国民に積極的に発信
日中特派員フォーラムの設立
日中友好のミニコミ(ネット+紙媒体)ネットワークの形成
留学の質を高め、経験者を活用する
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私の専門は華僑・華人研究ですが、戦後60周年という節目にあたり、
日中関係について、私見ながら、以下の三点について述べてみたいと思
います。
まずは現在の中国国民の対日感情とその社会的背景について、4月の
反日デモを取り上げながら考えてみたいと思います。
二点目として、日中関係の政治レベルの問題、特に胡錦涛政権の対日
政策、小泉内閣の対中政策について整理してみます。
三点目に、民間レベルで日中友好活動を続けてきた私の立場から、政
府レベル・民間レベル・個人レベルそれぞれにおける提案と提言をした
いと思います。
一、中国国民の対日感情―4月のデモを検証しながら―
4月上旬から中旬にかけて、中国で大規模な反日デモが行われました。
全国14都市で発生し、デモ参加者数はおよそ10万人といわれています。
被害状況についてはまだすべてが把握されているわけではありませんが、
日本大使館や総領事館といった公的機関も含めて、日本企業、民間のレス
トランなど、100カ所余りが被害を受けたと聞きます。中国人が経営し
ている店でも、日本語の看板が出ていたところは、投石等の被害を受けた
りしたようです。
デモ発生の原因と社会背景について簡単に整理してみます。
まずデモ発生の直接的な原因ですが、「なぜこの時期だったのか」とい
うことを考えていくと次の3点が挙げられると思います。
一つは、韓国人の独島(竹島)に対する抗議活動に関する報道の影響です。
中国には現在、マスコミ界において激しい競争があります。報道メディ
アは、昔はすべて国営でしたが、特にこの十年あまりの間に多種多様な報道
メディアが出現して競争が激しくなりました。経営は広告費の収入によって
賄われており、売れない新聞は経営が厳しく、とくに政府や党の機関紙の場
合は大変苦しい状況に置かれています。各紙はアイディアを絞り、見出しの
作り方も市場に合わせ、人々の興味を引く記事を掲載することに懸命です。
またご存知の通り、中国の報道にはあまり自由がなく、国内政治に関しては
とくに厳しいという状況があります。例えば、地方の指導者やあるレベル以
下の政治家ならともかく、中央委員や大臣クラスの幹部に関する批判記事を
掲載するのはなかなか難しい。そのような状況の中、マスコミでは、外国の
情報であれば大々的な見出しで大きく扱える、という傾向が強くなってきて
います。こういった傾向を私は大変憂慮しています。
今回の反日デモも、外国の情報に関する報道に端を発しているとも言える
と思うのです。なぜ中国の人々がこの4月に反日デモを起こしたのかという
と、この時期、独島(竹島)に対する韓国の抗議活動が中国のテレビや新聞
で生々しく報道され、中国人視聴者に強い刺激を与え、「なぜ、韓国人がこ
こまで強く日本に抗議しているのに、われわれ中国人は抗議しないのか」と
いう論調が生じていたという背景があります。
二つ目に、ちょうど同時期に、日本の「新しい歴史教科書をつくる会」の
教科書が文科省の検定に合格したというニュースが中国で報じられたことが
挙げられると思います。その直後、インターネットで日本批判の意見が大い
に流れました。
三つ目は、国連のアナン事務総長が日本の国連安保理常任理事国入りに賛
同する発言をしたことです。このニュースは中国で大きく報道され、デモの
際には若者たちが掲げたプラカードには「日本の常任理事国入り反対」とい
うスローガンが書かれていました。
次にデモ発生を促した社会背景ですが、これについても三つの面が考えら
れます。
一つは、中国の経済発展に伴って生じたナショナリズムの台頭があると言
われています。中国の13億の人口の中には、年収が一万円にも満たない、
貧しい生活を送っている人々がまだたくさんいますが、一方では年収が数百
万円に達する人も随分多くなりました。2億人の中産階級社会が形成されて
いるとも聞きます。北京や上海では、マイカーを持つ人もかなり多くなりま
した。特に一昨年、SARSの問題が生じた際に車を購入する人がたくさんいた
ようです。ベンツやBMWなどの高級外車に乗る人も年々増加しています。北京
空港から私の実家まで、2、3年前は四環路を通れば30分くらいで着きま
したが、最近では四環路が渋滞して一時間もかかってしまいます。中国人の
生活レベルは次第に豊かになってききています。そしてこのような国民の経
済水準の発展に伴い、民族主義者による釣魚島(尖閣諸島)に関わる運動な
どが盛んになってきたようです。
また、国民の経済水準の発展と同時に国レベルのインフラも整備され、そ
の相互作用によって、インターネットがものすごい勢いで普及してきました。
インターネットの普及、これが二つ目の背景です。ナショナリズムもいまや
インターネットによる情報発信なしにはその活動を成し得ません。しかし、
インターネットによる情報を政府でコントロールすることは不可能です。現
在、中国政府で「コントロールできない」三つのものがあると言われていま
す。それは市場経済、インターネット、反日感情の三つです。今回のように、
反日感情を煽るような情報が、インターネットによって、短期間に広範囲に
拡がることを、中国政府がコントロールすることは不可能です。
現在中国のインターネットユーザーは1億人、数年後には日本の総人口よ
り多くなるでしょう。中国の人口は13億人ですから、もしインターネット
普及率が30%とすれば、インターネットユーザーは単純計算で4億人です。
今後の普及率の上昇、人口増加も加味すれば、7億人、8億人に達するのは
時間の問題だと思います。
また、インターネットと合わせて、携帯電話による文字情報通信にも着目
すべきと思います。中国では携帯電話は月に600万台も売れており、3億
台の携帯電話が使われています。携帯電話で通話はもちろん、「短信」とい
うメールが非常によく使われています。北京や上海の知人から聞いたところ
によると、今回のデモでは、インターネットで直接情報を入手したという参
加者よりも、この「短信」によって情報を受け取った人が多かったようです。
北京のデモ発生直後の参加者は一千人足らずでしたが、参加者たちは携帯電
話で友人に呼びかけていきました。呼びかけの「短信」を受け取った人はさ
らに十人に「短信」を送るというルールがあり、雪だるま式に参加者が増え
ていったそうです。中国では携帯電話の技術革新が続いており、利用台数は
今後もより増加することが考えられます。中国の携帯電話事情は注目すべき
であると私は考えています。
こうした、インターネットをはじめとする文字情報通信は、日中関係にお
いて、今後ますますその重要性を増してゆくでしょう。今回のように負の働
きをすることもありますが、交流の促進や相互理解に果たす役割もますます
大きくなっていくと私は考えています。
三つ目の背景は、中国人の日本に対する不信感です。現在、不信感を増長
させる一番の問題になっているのは小泉首相の靖国神社参拝で、これは中国
人をいたく刺激しています。また、日本の閣僚の失言、日本人による集団買
春事件といった問題も中国では広く知られています。そのため、日本に行っ
たことのない、または日本人と接触したことのない中国人は、日本に対して
強い不信感を持っています。
こういったことが、中国で発生した反日デモの直接原因や背景であると考
えられます。ただ私は、他の学者の分析では違った見方もあろうかと思いま
すが、基本的には中国国民、特に若者の間で日本に対する不信感が増幅され
てきていることが一番大きな要素なのではないかと思っています。
とはいえ、13億人の中国国民全てが過激な行動を起こすほどの反日感情
を持っているわけではありません。多くの国民は日本に対して親近感もある
し、日本文化に対する興味も持っています。極端な言動を見せているのはご
く一部なのです。上述した靖国神社参拝や買春問題などに感情を傷つけられ
ることはありますが、それらに対して極端な反応を起こす一部の人々を中国
人全体として見るのは誤っているということは、ここで強調しておきたいと
思います。
二、政府レベルでの日中関係
ここで、両国政府のそれぞれの対日政策、対中政策を整理しておきたいと
思います。
胡錦涛氏が総書記に就任してから、中国の対日政策は少しずつ変化してき
たと日本のマスコミはしばしば取り上げていました。確かに、彼の就任した
2002年末に中国社会で反響を呼んだ「対日新思考」論議(日本の戦争責
任問題についてはすでに解決されたものとして、所謂「来志向志」を唱え
た議論)が起きています。これは研究者ではなく、マスコミ関係者の書いた
‘日本見聞録’が中国のある雑誌に掲載され、大きな反響を呼んだのですが、
日本人特派員がこれを日本の新聞で大きく紹介し、日本でも大きな反響を呼
びました。この「対日新思考」論議は、タイミング的に胡錦濤氏の総書記就
任と重なったため、実は彼の意向を伝えるものなのではないかという分析も
紹介されたことがあります。(この「新思考」論議について、日本僑報社か
ら『日中「新思考」とは何か』と『中日関係に対する戦略的新思考』、『「
対日新思考」論議の批判的検討』など三冊の新書を刊行していますので、詳
しくはそれらの書物をご参照ください。)
翌年2003年、胡錦涛政権下で「新日中友好21世紀委員会」が発足し
ました。その座長に就任したのは、胡錦涛氏の恩師である胡耀邦元総書記の
秘書でした。今年は胡錦涛氏の最初の訪日からちょうど20周年を迎えます。
彼は1985年の春に初めて日本を訪れました。その後、1998年に国家
副主席に就任した後、初めて訪問した外国も日本です。胡錦涛氏にとって、
おなじ共産主義青年団出身で、それぞれ青年団の書記を務めた経歴を持つ胡
耀邦氏の影響は非常に大きく、新日中友好21世紀委員会の座長に胡耀邦氏
の秘書を起用したことには、日中関係を改善しようという胡錦涛氏の意向が
表れていると言えるでしょう。
2004年には、北朝鮮問題をめぐる6カ国協議で活躍し、中国でも人気
のある外交部副部長の王毅氏を駐日大使に起用しました。これは中国側の対
日外交を重視し、中日関係を改善したいという信号ではないかと言われてい
ます。
また、今回のデモ発生後、中国共産党宣伝部、外交部などを中心に企画し
た中日関係情勢報告会が各地で開催されました。その中でも注目すべきは、
講師として地方に派遣された5代目の駐日大使を務めた楊振亜氏、6代目の
大使を務めた徐敦信氏です。彼らは上海、広州、山東などで講演(できたら、
ここに講演の概要を紹介してください)し、大学生や若者から高く評価され
ました。
これらのことから、2002年末から今日まで、胡錦涛政権は中日関係を
重視し、関係を改善しようとしていることがうかがえます。
一方でこれと対照的なのが小泉内閣の対中政策です。彼が毎年行っている
靖国神社参拝は、大変難しい問題となっています。小泉氏は任期内になんと
か国連安保理常任理事国入りを果たし、金字塔を打ち立てたいという考えを
持っているのではないかと思いますが、こういったやり方は、対中政策にお
いては失敗していると私は考えます。胡錦涛主席も温家宝首相も、「言葉よ
り行動」と明言しています。小泉首相も自らの決断で日中関係を改善の方向
に導いてほしいと思います。
三、提言―対日不信感を払拭するために何ができるか
今回の反日デモもそうですが、先だってのサッカーアジアカップでの騒動
など、何か起こるたび、日中関係がギクシャクしていると言われますが、私
はこれらの根本に、中国国民の対日不信感があると思っています。中国の対
日不信感を払拭するために、日本の政府、民間、個人のそれぞれのレベルで
どんなことしたらよいか、以下、提案をしてみたいと思います。
まずは政府レベルで中国人が最も期待しているのは、首相・外相・官房長
官の三名の靖国神社公式参拝の中止です。もし小泉首相が参拝中止を明言す
れば、中国側の反日行動は間違いなく少なくなるし、国連の常任理事国入り
のことに関しても、中国政府は支持を表明するでしょう。
また日本政府の政策として、中国人観光客を積極的に受け入れることを提
案します。日本を訪れる中国人観光客数は年間わずか数十万人で、ビザ申請
できる地域も限定されています。日本を訪れる中国人観光客が日本で使う金
額は平均で30万円だそうです。秋葉原の電気街では中国人スタッフや中国
語で書かれた看板が増えています。中国人観光客が日本で消費活動をするこ
とは、日本経済にとって有益なはずです。また、中国人が実際に日本文化を
体験することは、将来の日中関係にとってよい影響をもたらすでしょう。日
本を訪れた経験を持てば、その後、日本に対する感情は必ずプラスの方向に
向くはずです。中国人の日本観光を限定するような政策はやめ、より多くの
中国人を受け入れるような政策を展開すべきではないでしょうか。
そして、日中両国の政治家の交流を密にし、またこれを制度化してほしい
と思います。5月19日付けの毎日新聞夕刊の「特集WORLD」における取材
記事で、5月に訪中した山崎拓氏が次のように述べています。
「中国と日本との人的パイプが細くなっていることは、中国側もかなり意
識しており、『党間交流』という言葉をさかんに使っていた。中国共産党と
自民党、公明党あるいは民主党との間の交流を強く望んでいる。今回の(反
日デモ)騒動を収束させるに当たり、日本との政治的パイプが詰まり、意思
疎通ができないということを認識したのではないか」。
中国側には準備ができています。日本側にはこれに積極的に応じて欲しい
と思います。
とくに、若手政治家の交流はぜひ推進すべきと思います。中国でも近年、
若手政治家が台頭しています。日本語を話せる政治家も増えています。日本
でも、中国への留学経験を持ち、中国語を話せる日本の国会議員がいます。
地方の市議会・県議会議員も合わせれば、数十名に上るでしょう。彼らには、
今後の日中関係においてもっと力を発揮してほしいと思います。彼らが例え
ば「中国留学経験者議員の会」を設立するなら、これは大変有意義な集まり
となるのではないでしょうか。
民間レベルの交流では、特に経済・文化面に力を入れていただきたいと思
います。
たとえば、次のようなことを実現することはできないでしょうか。
★日中友好活動を支援するための専門の財団の設立
日中友好に尽力している人たちのほとんどが経済的に豊かではありません。
財団を設立し、日中友好のための活動の経済的基盤を作って、活動を支援し
ていくべきだと思います。中国には2万社以上の日本企業が進出しています。
それらの企業から寄付を募ったり、あるいは、年間300万人の日本人が中
国を訪れていますが、一回の訪中につき100円ずつ寄付してもらうだけで、
相当な金額になります。
★「戦後日本」を中国国民に積極的に発信
戦後60年間の日本人の変化を、もっと積極的に発信してほしいと思いま
す。中国では日本に関する情報が不足しています。特に現代日本のテレ
ビドラマや、日本文化、日本人の意識が反映されたテレビ番組をもっと積
極的に中国メディアに提供してはどうでしょうか。
中国全土のテレビの台数は日本の数倍あり、新聞社2119社、雑誌社90
74社、出版社(電子出版も含む)1011社、テレビ局374社超、ラジ
オ局282社という情報があります。中国のメディアと提携し、戦後日本を
積極的に紹介してみてはどうでしょう。
★日中特派員フォーラムの設立
昨年は日中記者交換40周年でした。この40年間、中国から日本に派遣
された特派員の数は150人以上、日本から中国に派遣された特派員は40
0人以上です。特派員の方々の努力は両国の相互理解に大変貢献しています。
現在中国に駐在する日本の特派員は約80名。一方、中国人特派員はわず
か20数名であり、バランスがとれていません。特派員の人数が少なければ、
日本から発信できる情報量は減り、限られたものになってしまいます。今後、
特派員の役割について考え、もっと活躍してもらえるよう議論する必要があ
るのではないかと考えています。また定期的に意見交換したり、政策提言を
行うなど、頑張っていただきたいです。
★日中友好のミニコミ(ネット+紙媒体)ネットワークの形成
日中友好のミニコミ誌のネットワークを形成することが可能ではないかと
思います。日中友好の情報を集中的に取り上げることは、大手メディアには
できないことです。少なくとも、日中両国に100タイトル以上あります。
そういった、日中友好専門のメディアの力を活用すれば、もっと日中関係を
改善できるのではないでしょうか。
★留学の質を高め、経験者を活用する
留学経験者をもっと活用すべきです。中国留学の経験を持つ日本人の数は
年々増えています。しかし、語学留学の数が圧倒的に多く、学位取得者はま
だ少ないです。中国語を勉強することは大いに結構ですが、より中国や中国
文化を理解するためには、学位を取得することが望ましいと思います。先日
の人民日報の報道によれば、中国の大学で博士号を取得した韓国人は600
人を超え、ソウルで協会を立ち上げたそうです。トータルで見れば、韓国人
留学生の数は、日本人留学生の数より少ないはずです。しかも、日中間に国
交が回復してから既に30数年ですが、中韓間は国交が回復してからわずか
10年なのです。
ちなみにこの20年の間に、日本で博士号を取得した中国人は少なくとも
6000人はいると言われています。これは日中間の素晴らしい人材、宝物
です。彼らのすべてが親日派とは言えませんが、日中交流に果たす役割はこ
れからますます重要になってくるでしょう。また、現在日本で学ぶ10万人
を超える留学生のうち7割が中国出身です。帰国後、どのような部署でどの
ようなポストに就いているのか、そういった調査はなされていませんが、中
国の国家機関の局長、大臣クラスで活躍している元留学生は結構います。大
学教授になった人もかなりの数にのぼります。
最後に、今後、私が個人レベルで何が出来るかを考えてみました。
★政策提言を行う日中友好専門誌創刊
政策提言できる日中友好の専門誌、「日中公論」といったものを作れない
かと考えています。中国側の日本研究者、日本側の中国研究者は合わせて何
千人もいますが、これまで実際に日中関係を改善するために政策提言を出し
てきた人がどれだけいたか、また一般の国民が自由に意見を発信できる場が
あったでしょうか。日中友好の専門誌「日中公論」を創刊し、日中両国民が
自由に議論し、本音を語り合える場を提供したいと考えています。
★日中友好年鑑の編纂
情報発信の集大成として、日中友好年鑑を作っていく必要があります。友
好の情報をきちんと記録し、次の世代に残すことは、我々の責任です。
★二つのコンクールを開催することにしました。一つは、中国人の日本語
作文コンクール、もう一つは日本人の中国語作文コンクールです。
最近、中国語の上手な日本人が年々増えてきています。中国語で書いた作
文が中国の新聞に掲載され、本として出版されれば、日本語の分からない中
国人に対して、直接意見を発信する大きなチャンスになるでしょう。また、
今回のコンクールでは、王毅大使のご厚意により大使賞を設けることができ
ました。ぜひ多くの方にコンクールの存在を知ってもらい、さらに参加して
いただければ大変嬉しいです。作文コンクールに関して、別項をご参照くだ
さい。
そして本当に最後に、日中友好を望む一個人にできることを提言したいと
思います。
現在、日本の華僑華人は60万人に達しています。10年後には100万
人に達するでしょう。まず、この60万人の中国人の中に友達を作ることか
ら始めてほしいと思います。だれでもできる簡単なことですが、そういう小
さな交流が、実はもっとも大切なのだと思います。
友好、友好、と述べてきましたが、実は、二国間において常に友好ばかり
などということは有り得ません。国同士のことといえど、つきつめて考えれ
ば人間同士のこと、衝突や問題が生ずるのはあたりまえなのです。問題が生
ずるのはあたりまえ、と受け入れられたなら、あとは前向きに、問題をどう
処理し、越えていくかについて考えれば良いのです。
今年は戦後60周年です。こうした節目の年に来し方を振り返り、行く方
を見据え、両国が問題を処理しつつ互いに友好的に歩んでいくために、みん
なで力を合わせて頑張っていきましょう。
(本稿は2005.5.18東京・共同通信社での講演記録)
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