私は日本の平和憲法を守るために、「九条の会」(戦争放棄を誓った憲法第九条を守る会)に参加し活動している日本人です。今回の日中間の領土問題で、日中間の友好が損なわれていることについて、中国の方々にも理解してもらいたいことがあるので、この文章を書きました。
領土問題で反日デモに参加している人々やそれを支持する中国人の心の奥には、日本があの侵略戦争に対して、心から謝罪していないことに対する憤りがあると思います。私はその気持ちは当然のことと思います。第二次大戦後の日本の政府の侵略戦争への謝罪は、心からのものとはいえません。極めて表面的な謝罪であったと思います。今から10年ほど前、小泉首相が靖国神社を参拝したことでも明らかです。靖国神社は、あの戦争が自存自衛のための戦争であったと宣伝しているセンターともいえるところだからです。ドイツはあの戦争に対して、全国民的反省を行いました。その結果、ユダヤ人のイスラエルをはじめ、ドイツに侵略された国々では、反独デモなど全く起きていません。
日本では平和憲法があるにもかかわらず、再び戦争ができる国にしようという動きが公然と続いています。その理由は、戦争直後一時期、アメリカ占領軍は日本を平和的民主的な国家にしようとしていました。しかし朝鮮戦争のころから、アメリカは対日政策を根本的に変更し、日本をソ連や中国対する防壁にしようとして、共産党や労働運動を弾圧する一方、第二次大戦を始めた時の大臣でありA級戦犯の岸信介を釈放し、総理大臣にしました。日本はアメリカと安全保障条約を締結し、今にいたるもアメリカの従属国になっている状態です。
しかし二度と戦争を起こしてはならない、平和憲法はあくまでも守り抜こうという運動は、戦後から現在まで一貫して強固に行われています。九条の会は現在全国に7000を超える組織をもつようになってきました。
領土問題で、中国での反日行動は、暴力的破壊をともなっています。この報道は、日本の右翼勢力の憲法を改訂して、日本が軍隊をもって、海外に進出できる国にしようという動きを助長するものになっています。一方侵略戦争への反省に基づき、日本を平和的民主的な国にしようという「九条の会」などの運動に困難をもたらしています。
領土問題はあくまでも物理的力に頼らず、日中双方とも、外交交渉によって解決するようにすべきだと思います。日本も中国もこの点をしっかり押さえてこの問題の解決にあたるべきだと思います。
東京 安藤
2012年10月6日