1月16日、社団法人日本図書館協会図書選定委員会は、日本僑報社が昨年11月に発行した袁偉時著・武吉次朗訳『新版 中国の歴史教科書問題―偏狭なナショナリズムの危険性―』を、選定図書に指定した。
選定図書は、毎年、全新刊出版点数の平均約15パーセントが選ばれるもので、全国各地の図書館ほか、広く関係方面に通知され、図書館等での選書に役立てられている。
本書は、中国での当局の言論弾圧門題を正面から扱い、反響を呼んだ、日本僑報刊行の「氷点」四部作の続刊であり、「氷点」事件発生後の事件当事者の肉親、同僚、旧友、一般市民等の支援の様子が、いきいきと表現されている。
さらに、20世紀初めの義和団事件と文革期の紅衛兵の野蛮な行動にも触れて論じていることや、日本の明治維新と清朝末期の洋務運動の成否が異なる結果を生んだ原因、さらに偏狭なナショナリズムが陥る危険性をさまざま指摘するなど、一般に関心の深い問題点を、歴史家の視点で冷静に論じていることが注目された。
これまで、日本図書館協会の選定図書に指定された日本僑報社刊行書籍は下記の五冊がある。李大同『「氷点」停刊の舞台裏』、佐藤公彦『「氷点」事件と歴史教科書論争』、劉徳有『わが人生の日本語』、林佑一『日中外交交流回想録』と袁偉時『新版 中国の歴史教科書問題』。