『信濃毎日新聞』2013年2月24日付けの読書欄より。
■日本における新聞連載子ども漫画の戦前史徐園著
尖閣問題で揺れる日中関係だが、中国では「名探偵コナン」や「ドラえもん」など日本の漫画やアニメに対する人気は根強い。幼い時から日本アニメに親しんできた中国人女性が漫画研究で日本に留学、まとめたのが本書。
日本の近代漫画文化のルーツは新聞漫画にあると考える著者は、明治時代から新聞に連載され始めた子ども向け漫画に着目。学校教育の普及で「子ども本位」の理念が生まれたことで広まったとする。「正チャンの冒険」など主流は男の子が主人公だったが、大正末に女の子を主人公とするものも登場し、擬人化された動物が主役の漫画も現れ、戦後漫画につながった。
日本の漫画は大衆からわき上がってくるパワーを基礎に、西洋の漫画文化を吸収した上で自らのものとして進化させたとする。著者は「大娯楽文化の発展に力を入れている国々にとっては参考にする価値が大きい」と高く評価する。
(日本僑報社、7350円)