【内容紹介】本書の特色は、なんと言っても中年期にある北京の男女30数ケースについて、極めて詳細なインタビューを実施して、彼女らの夫婦関係の実像を丁寧に浮かび上がらせることに成功している点であろう。
著者はしかし、それを単に中年期夫婦のあり方として記述するだけでなく、中年後期にある群と、中年前期にある群を対照する形で取り上げることによって、文革期の影響を強く受けた年長世代と、その影響を受けていない反面、近年の経済の急成長のもとでの、職業生活の変化を経験している中年前期世代の間に見られる、ライフコースとライフステージの違いと両者の絡みあい方の中に、現代中国家族の変化と夫婦関係における問題の現れ方を的確に捉えることに成功している。
日本に留学して学んだ理論と方法を、中国における家族研究に生かした成功例であるとともに、日本の家族研究に対しても少なからぬインパクトを持つ成果であると評価できる。」
――石原邦雄成城大学教授、東京都立大学名誉教授の推薦文より転載。
※于建明著『中国都市部における中年期男女の夫婦関係に関する質的研究――ライフコース論の視点から』は、日本僑報社から5月末に刊行予定。本書は第15回華人学術賞受賞作品