
中国には、数え切れないほどのすばらしい観光地があります。中には昔から存在は知られていたものの、外国人には立ち入りが認められていなかったところとか、文化大革命で破壊され、その後は朽ちたままになっていたところとか、あるいはつい最近になって存在が明らかになり、観光地として新たに整備されたところとか、様々です。
ところがこうした魅力的な観光地のほとんどは、市販の観光ガイドブックに詳細が掲載されていません。掲載されていても、ほんの数行しか書かれていなかったりします。
日本日中関係学会(会員約380 人)には、こうしたガイドブックで紹介されていない観光地を巡って歩いている会員の方々が少なくありません。商社マン、大学などの先生方、各官庁・機関の出先で働いている方々、新聞・テレビなどメディア関係者、中国からの留学生の皆さんなど、メンバーは実に多士済々です。
そこでこれらの会員の皆さんが中心となって、「中国の“ 穴場” めぐり―ガイドブックに載っていない観光地」を執筆しようじゃないか、ということになりました。初めはフジサンケイビジネスアイ紙に週一回連載(「FOCUS 中国」)させていただき、それをもとに加筆して一冊のガイドブックに仕上げることができました。
本書の特徴は、単に景色がすばらしいとか、観光的な価値があるとかというだけでなく、紹介を通じていまの中国の文化、社会、経済の背景をも浮き彫りにしようと心掛けたことでしょうか。中には旅行社に頼んでも、簡単には行けないような場所もあります。それでも最近は中国も歩きやすくなってきましたので、なんとかすれば現地を訪れることが可能なところが多いでしょう。
今回は30 カ所の紹介にとどまりましたが、まだガイドブックに載っていない多くの観光地が各地に残っています。それらはまた、いつの日にか機会を見て第二弾としてご紹介できれば、と思っております。
日本日中関係学会会長 宮本雄二