
尖閣諸島問題で日中関係が冷え込み、安倍晋三首相の靖国参拝で中国の日本に対する歴史認識批判が一段と激しさを増す中、「現代日本の妖魔化と対日外交政策の失敗」と題するブログが中国のネットに公開され、大きな論議を呼んでいる。
筆者は英国や米国にも留学、政府職員として訪日経験もある「老兵東雷」(ブログ名)氏。国交回復当初、「日本の事はすべて自然に受け入れ、わだかまりもなかった中国人」が、中国にとって最大の援助国でもあった日本を何故、これほどまでに憎むようになったのか詳細に検討し、その原因の一つを「またしても軍国主義の道を行く」と日本を妖魔化する中国側の視点にあると指摘。
日本が軍国主義に進むという推論は、「悲惨な歴史を経験した中国人にとっては非常に理にかなったことではあるが、日本人にとっては荒唐無稽な陰謀説」であり、現実に平和憲法で洗脳され、平和な環境の中で私権や自由を享受し、戦争からどんどん遠ざかっている日本人が「どうやって軍国主義に向かうのか教えてほしい」とまで記している。
その上で中日国交正常化四十周年を前に起きた尖閣諸島事件での大規模な反日デモや日本車の焼打ちについて、「中日の国交はおかしくなった。中国の対日外交は、民意を日本との和睦に導く試みから、民意を利用した反日へと、すっかり変わってしまった」とするとともに、「中国と韓国を除けば歴史問題で日本ともつれ合っている国はほかにない」として、中国が新しい中日関係に向かうよう求めている。
日中の対立が深まる中、日本人には「中国の世論は反日一辺倒」との思い込みがあり、中国側も日本の世論を「反中一色」で捉えがちだ。しかし現実には中国にも多様な意見があることを示す一文として熟読させてもらった。
ここでは、極めて微妙なテーマであり、筆者の意を正確に読み取っていただくためにも、あえて全文を掲載することにした。一人でも多くの人に目を通していただきたく思う。