
日本と中国の出版業界関係者が関係改善に書籍が果たす役割について話し合う「第4回日中出版界友好交流会」が2日、千代田区で開かれた。両国の出版関係者約150人が集まり、「互いの良い面も伝え、尊重する気持ちになれる書籍を出版しなければならない」などと話し合った。
中国や日中に関係する書籍を手がける日本僑報社などが主催。基調講演では、凸版印刷顧問を務める宮本雄二・元中国大使が「中国の研究者が日本について学ぶとき、いまだに70年前の『菊と刀』を読んでいる。あれを超える本がないのか」と話し、現代の日本を伝える良書が少ないことや、日本国内で「嫌中本」が売れる現状に警鐘を鳴らした。
パネルディスカッションでは、中国の出版社副社長や日本の元新聞記者ら6人がマイクを持ち「誤解を増幅させる本は売れるが、理解を深める本が売れない」「相手の良いところも載せた本や雑誌を出して、互いの良さを伝える努力をしないといけない」などと話し合った。(今村優莉)