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日本僑報電子週刊 第522号 2005年11月16日(水)発行
http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
■段躍中日報 http://duan.exblog.jp/■
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■『日中和解・共栄への道』刊行特集■
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編者から
大家晩上好。
天気が一段と寒くなりまして、特に朝夕は「毛衣」や「皮夾克」も必
要になりました。皆さんの過ごすは如何ですか。
さて、今週もいつものように大変忙しい一週間でした。
10日午後、中国国務院僑務辧公室の陳主任(閣僚級)が来日され、
座談会に呼ばれまして、華僑華人代表と一緒に約一時間の交流をしまし
た。大臣クラスの僑辧主任の来日は五年ぶりと聞きまして、あまりにも
寂しく思っています。それから、華僑華人代表との交流は、とても有り
難いですが、日本政府の大臣と会見し、在日華僑華人社会の情報、特に
要望などを主任の口から伝えてもらえれば、在日華僑華人社会の発展に
もっとも効果的ではないでしょうか。いくら華僑華人社会内部の交流は
日本の主流社会への影響、政府への働きは、大臣クラス主任のもっとも
重要仕事だと思います。考え方の転向が必要ですね。
13日朝、自転車で目白大学へ行って来ました、天気が大変良く、道
も分かったいたようで、僅か15分、学会会場に着きました。友人の李
さんが主催する第二回在日中国朝鮮族シンポジウムに参加しまして、朝
日新聞編集委員の船橋洋一氏と東京大学教授の姜尚中氏の素晴らしい講
演を聞くことができて、大変勉強になったと思っています。300人以
上の参加者が目白大学に集まったことも吃驚しました。詳しい報道は「
段躍中日報」http://duan.exblog.jp/に掲載しています、ぜひご覧くだ
さい。
明日は二冊新刊の入稿日です。版下の最終確認に追われています。そ
のため、本日のメールマガジンは【正刊】を休ませて頂き、この特集を
皆さんに送り致します、お許しくださいませ。『日中和解・共栄への道
―関係改善への戦略的提言』は、北京在住の若手学者が日本僑報社のた
めに、書き下ろした一冊です、いまの日中関係を考えるに大変役立つの
一冊と思います。http://duan.jp/item/020.html
では、お休みなさい。
段躍中@2005.11.16夜10時半
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■目次■
内容紹介http://duan.jp/item/020.html
本書の目次
著者略歴
訳者略歴
訳者後書き/鄭青榮
書誌データと注文方法http://duan.jp/item/020.html
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【内容紹介】
日中両国の喫緊の課題は、如何なる方策によって極めて不安定な「政冷
経熱」の現状から脱出するかである。日本外交・経済外交の研究分野に
おける気鋭の中国人学者である著者が、グローバルな複眼的視点から、
内外の論文・情報資料を縦横に駆使して、今春の「反日」デモ事件を含
む近年来の日中関係の推移、並びに山積する係争中の諸問題を詳論して
いる。とりわけ、安保理改革をめぐって、両国と世界を巻き込んだあの
熱い国連外交ドラマや、シベリヤ石油資源の開発・利用をめぐる日中ロ
三国の合従連衡さながらの外交戦の知られざる内幕を活写してたいへん
興味深い。複雑で不透明な日中関係の見通しについて、短期・中長期に
分けて詳しい分析と論証を加え、明快な予測を導き出している。両国の
和睦・共栄を願うすべての人々に捧げる著者渾身の大胆かつ率直な論評
と提言が本書に展開されている。政治外交論文の訳書であるが、一般向
きに文章表現がよく工夫されていて、読みやすい。
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【本書の目次】
はしがき
第一部 「政冷経熱」状態の中日関係
一、両国現状の概観――「政冷経熱」
二、日本の常任理事国入りの問題
三、歴史問題
(一)教科書問題
(二)靖国神社問題
四、領土及び海洋画定の問題
(一)釣魚島問題
(二)海洋境界画定問題
五、シベリア石油輸送パイプライン問題について
(一)シベリア石油・天然ガスパイプラインの敷設方向をめぐる数々の波乱
(二)ロシアの関連政策が揺れた内外要因
(三)中ロ石油パイプライン建設交渉における経験・教訓および啓示
第二部 中日関係の悪化原因並びに戦略的視点について
一、中日関係緊張化の問題点
(一)両国の政策的要因
(二)両国の国情要因
(三)両国の相互連動要因
(四)外部要因
二、大国の国民が保つべき心理状態の問題
(一)理性
(二)全局
(三)善良
(四)現実
(五)公正
(六)責任
(七)法制と道徳
(八)寛容
三、中日関係の戦略的視野
(一)機が熟したら、中日関係は「戦略的関係」に格上げすべきだ
(二)東アジアの発展は中日両国に団結・協力を求めている
(三)中日は互いに相手国の戦略支点
(四)和すれば両方を利し、闘えばともに傷つき、他者が漁夫の利を得る
(五)自由貿易地域(FTA)の構築は中日両国の戦略的利益の合流点
四、乱麻の如き中日矛盾を断つ七項目の提案
(一)抜本的に歴史問題を解決する政策を検討する必要がある
(二)歴史問題は根治法のほかに、対症療法も必要である
(三)中日韓・東北アジア自由貿易地域(FTA)協定締結の推進
(四)東アジアないし全アジア地域のFTA協定締結の推進
(五)中国は韓国との二国間自由貿易地域設立に向けての交渉作業を推進
するべきだ
(六)東アジア諸国を主体とする、開放的な東アジア経済協力政策を取り、
米国およびその他の国を排斥しないが、一定の制限を課す
(七)動・静ワンセットの対日政策の採用
第三部 中日関係の今後の見通しを探る
一、中日関係の長期見通し
二、中日関係の中期見通し
(一)政治面の矛盾
(二)領土および資源分野の矛盾
(三)軍事・安全面の矛盾
(四)経済面の矛盾
三、短期の中日関係
(一)経済要因
(二)小泉要因
(三)中日民間交流要因
(四)東アジア共同体建設に関わる要因
後書き
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■著者紹介
周永生(Zhou Yongsheng)1 1963年中国黒龍江省生まれ。1986年ハルビ
ン師範大学歴史学科卒。1989年吉林大研究所修士卒。ハルビン師範大学
歴史学科で教鞭を執る。1990―91年北京大学現代日本研究クラスで日本
経済を研修。1996-97年早稲田大学に留学、客員研究員も兼任。1997年
中国外交学院法学博士号取得、同学院国際関係研究所教授として現在に
至る。中華日本学会理事、東アジア平和・発展戦略フォーラム特約研究
員などを務める。主な研究分野は経済外交、日本外交、国際関係など。
代表的学術著書に『経済外交』(中国青年出版社・2004年2月出版・58
万字)など。
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■訳者紹介
鄭青榮(Zheng ・Qingrong・てい せいえい )1943年東京生まれ(原籍:
中国広東省中山市)。1966年横浜市立大学文理学部卒、同年より79年ま
で在日中国人団体事務局に勤務、福祉・人権問題担当。中国訪日友好代
表団等の支援活動にも参加。1980年サイマル・アカデミー中国語通訳コ
ース履修。1981年から日中産業文化交流関連の各種会議通訳・資料翻訳
に従事、SONY(株)研修センター講師歴任。1984年より中日会話学院中
国語通訳・翻訳者養成コースの主任講師を担当、2003年より神奈川県立
保健福祉大学非常勤講師も兼務。編著に「ニイハオ・中国語(速成中国
語会話)」など。主な論文に「日・韓中三国は戦略対話を強め、歴史和
解の達成めざせ」、「在日華僑華人社会における華文教育の展望」など。
ほかに中国政治社会コラム「中国万華鏡」など。
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訳者後書き/鄭青榮
去る四月の「反日」デモの嵐もとうに過ぎ去り、その記憶も日々遠のい
てゆく感じだが、かといって、このまま水に流せるものでもない。現実
はやはり厳しい顔つきで私たちを待ち構えている。近年来、両国の間に
は、たしかに奇妙な「政冷経熱」というアンバランスな状態がつづいて
いる。しかし、この変則的な状態は不安定なものであり、長続きはしな
いだろう。事態は安定したバランスを求めて、「政熱経熱」か若しくは
逆の「政冷経冷」の方向へと動いてゆくに違いない。両国双方にとって
好ましい「政温経熱」ないし「政熱経熱」の状態に変えてゆくには、和
解と協力が必要不可欠である。逆に、このまま反目しあい、悪循環的な
競争を続けていると、しまいに「政冷経冷」状態に陥ってしまうであろ
う。いまこそ、両国は双方ともに気を落ち着け、心静かにあの嵐と激情
の日々の一連の出来事を思い返し、そして両国の悠久の交流史に思いを
馳せ、近現代の両国関係の歴史の軌跡を回顧し、深く反省、総括すべき
時期に来ている。このタイミングで、経済外交、日本外交および国際関
係の研究分野の第一線で活躍する中国気鋭の学者である周永生博士の新
著『日中和解・共栄への道――関係改善への戦略的提言(原題:中日摩
擦憂思録――ある中国人学者の観察と思考)』が、日本僑報社から出版
されるのは、まことに時宜に適っている。
本書は、一中国人学者の日中関係に関する学術論文であり、中国政府へ
の献策、並びに中国同胞への啓蒙の書でもあるが、同時に日本および日
本の読者をも充分に念頭に入れて、日中双方の関連情況を対比しながら
幅広く論述を展開しており、したがって、日本の政・官・民各界にとっ
ても大いに注目すべき政治・外交・経済の総合論文だといえよう。「東
アジア平和・発展戦略フォーラム」特約研究員も務める著者は、グロー
バルな複眼的視点から、内外の関連論文・情報資料・ニュースなどを駆
使し、日本では日の目を見ない多くの驚くべき事実と濃霧を吹き飛ばす
ような卓見を織り交ぜながら、近年来、特に最近の日中関係の推移を丁
寧に記述し、問題点を詳しく論じている。著者の主な研究分野は経済外
交、日本外交および国際関係であるが、特に経済外交分野に造詣が深く、
本書で取り上げたシベリア石油資源をめぐる日中ロ三国の外交戦の論述
は圧巻といえる。いにしえの戦国時代の合従連衡さながらのこの外交戦
の実態に対する生き生きとした描写と平易な論述は、まるで小説「三国
志」でも読んでいるかのように強く引き込まれ、読み終えた者の脳裏に
は国益外交の生態と市場経済の原理がいつの間にか滲み込んでいるから
不思議だ。また日中両民族の文化的心理的差異に対する著者の分析と解
説も興味深く、さらに一部中国人の偏狭なナショナリズムの問題、希薄
な法意識の問題なども忌憚なく取り上げられ、克服の方策にも言及して
いる。乱麻の如く絡み合った両国間のさまざまな矛盾、その矛盾の塊の
核心に向かって究明の鋭いメスを入れ、隠された真相と本質の解明へと
迫って行く。そのような真剣な姿勢で書き上げられた本書には、著者の
国際情勢に対する分析能力の高さ、および日中関係のさまざまな事象に
対する洞察力の鋭さが遺憾なく示されている。
この論文の中で、著者は日本でも非常に関心の高い国連安保理常任理事
国入りの問題、領土・海洋資源問題、およびシベリア石油・天然ガス資
源問題など多くの焦点問題に対して、まず事実関係について詳しく紹介
したうえで、縦横無尽に論評を加え、辛口の対日批判も随所に展開して、
ホンネの対日観を語っている。しかし、それだからといって、本書に対
して否定的な先入観や憶測を持つ必要はない。中国の格言に、「他人か
らの忠言は、耳に逆らうものだが、行動する本人には役立つものだ(忠
言逆耳利於行)」というのがある。これこそ、いまの両国のどちらにも
当てはまる警句である。例えば、日本側の報道は、よく中国側の悪い面
や誤りを指弾し、一方、中国側もよく日本の弱点、マイナス面を指摘す
る。しかし、どちらの言い分も、「国益優先」が災いして国民の耳目に
客観的に、全面的に、正確に伝えられていない欠点がある。特に日本で
は、物事の本質をぼやかす無責任な報道、興味本位に茶化した放談、本
末転倒の言説などが少なくない。なかには、意図的に隠蔽され、封印さ
れた事実や情報さえある。これでは、日中間の相互認識にとかく誤作動
が起こりやすいのも無理もない。
政治指導者の個人的な情念も絡んで、いっそう複雑化し、かつ多面的に
こじれてしまった日中関係。しかし、どんなにこじれても、互いに相手
を必要とする関係は、いささかも変ってはいないし、これからも変らな
いであろう。そこで大切なことは、相手国の指摘する自国の問題点、弱
点やマイナス面に目をつぶったり、背を向けたりせずに、勇気をもって
直視し、正面から立ち向かってゆく姿勢であろう。そうすれば、必ずや
問題解決の入り口にたどり着くことができるに違いない。
事件の全貌、実態と真相、またその背景はどうなっているのか? 問題
の「病巣」はいったい何処にあるのか? 政府間交渉のテーブルでは、
具体的にどのようなやり取り、応酬があったのか? 歴史認識の問題に
しろ、東海の領有・画定問題にしろ、国連安保理常任理事国入りの問題
にしろ、シベリア石油・天然ガス資源問題にしろ、問題をめぐる情況は
錯綜して極めて複雑だし、理解するのにさまざまな国際知識、専門知識
および歴史知識などが求められる。政府外交に対する国民の関与や影響
の度合いがますます深まり、強まっている昨今であるが、国民外交を標
榜する国民運動が、ただ単にこぶしを振り上げて、相手国を強く非難す
るような高飛車な姿勢を取れば、国益が得られたり、守られたりするわ
けではない。むろん、政府の外交政策に対して、さまざまな合法的手段
を通じて、要求を出したり、圧力をかけたりするのは、主権在民思想の
具現であり、それ自体好ましい事であるが、健全な国民外交を行うには、
国民側に求められる必要条件がある。それは個人的な感情や信念ではな
く、理性と知性である。その理性と知性は、虚心な飽くなき、不断の政
治社会学習、対話・討論、調査研究などから生まれる。残念なことに、
日本の一部主要メディアが「反日」デモ報道で見せた扇情的な手法や皮
相的な歪んだ中国分析は、理性と知性に欠け、両国関係を対立や衝突の
迷路に引き入れる一因を作った。
現在の日本国民にとって、海外諸国や紛争相手国のものを含めて、さま
ざまな異なる視点の幅広い情報・知識、見解や考えをよく知ることの意
義は大きい。またそうすることは、玉石混交のさまざまな情報に対する
識別・鑑定能力を強め、偏狭なナショナリズムや過激な国家主義に対す
る免疫力を高めるうえで大いに役立つに違いない。この意味において、
未来の日中関係の発展に対して「慎重な楽観論」に立脚する周博士が、
新たな視点と着想から、日中両国の戦略対話、並びに両国関係の改善に
資する方策を総合的、系統的かつ大胆、率直に提言している本書は、日
中摩擦・対立を憂慮し、両国関係の諸問題の適切な解決を願うすべての
日本の人々に捧げる好個の労著といえよう。ぜひ、一読をお薦めしたい。
(二〇〇五年九月二四日 記)
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書誌データと注文方法
書名 日中和解・共栄への道―関係改善への戦略的提言
著者 周永生
訳者 鄭青榮
発行 日本僑報社
判型 A5版200頁並製
定価 2500円+税
発売 2005.12.1
注文 171-0021東京都豊島区西池袋3-17-15日本僑報社
TEL 03-5956-2808 FAX 03-5956-2809
インターネット注文先 http://duan.jp/item/020.html
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日中関係・華僑華人情報専門誌・毎週水曜日発行 編集発行:段躍中
1998年8月創刊・無断転載禁止。
著作権は日本僑報社またはその情報提供者に帰属します。
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