日本僑報社11月25日の発表によると、日本の浄土宗僧侶で、中国新疆ウイグル自治区政府文化顧問でもある小島康誉氏らが編集主幹(主編)を務めた『新疆世界文化遺産図典』の日本語版が同社から刊行されることが決まった。
同書は、新疆ウイグル自治区成立60周年の節目の年に当たる今年、これを記念して新疆美術撮影出版社が9月に刊行。小島氏と、同自治区文物局の王衛東局長が主編を務めた。
新疆が世界にほこる文化遺産のシルクロードは昨年6月、「シルクロード:長安=天山回廊の交易路網」として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。これは中国と欧州を結んだシルクロードのうち、長安(現在の西安)や洛陽から敦煌を経て中央アジアに至る「天山回廊の道路網」で、全長は約8700キロ。
中国とカザフスタン、キルギスの3カ国が共同申請していたもので、内訳は中国内22カ所、カザフスタン内8カ所、キルギス内3カ所の合計33カ所の遺跡となる。新疆ウイグル自治区内では、キジル千仏洞、高昌故城、交河故城、北庭故城、スバシ故城、クズルガハ烽火台の6遺跡が世界遺産に含まれている。
本書は、この6遺跡をオールカラーの写真資料集として紹介するもの。
中国で最も早く開かれた石窟寺院の一つ、キジル千仏洞の「新疆一」といわれる壁画の生き生きとした美しさ、また、かつて(紀元前1世紀~14世紀)の高昌国の王城、高昌故城の現存する建築遺構の巨大さなど、遺跡の今をさまざまにとらえたカラー写真は迫力がある。
6遺跡はそれぞれ写真のみならず、「遺産の概況」「歴史沿革」「突出した普遍的価値」「遺産の保護」といった各項目の解説も充実。
巻末には、1982年に初めて新疆を訪れて以来、同地に残る貴重な仏教文化にひかれ、その文化遺産の研究や保護などのために多大な貢献を果たしてきた小島氏の足跡が「小島精神と新疆文物の保護研究」と題してまとめられている。
新疆ウイグル自治区の世界遺産と、小島氏らによる文物保護の現状が写真資料でわかる、見ごたえのある1冊となっている。
※本書の日本語版は新疆美術撮影出版社との共同刊行で来年三月に発売する予定です。