
2009年から中国東北部三省、華北地方、最南部の海南島に残る万人坑を参観し慰霊と学びを重ねてきました。 今年は、長江流域に残る万人坑跡を主に参観する予定です。重慶から南京までの広範囲を新幹線も利用しながら巡ります。
万人坑とは、鉱山や大規模な工事現場で、中国人労働者に苛酷な労働を強要した結果、 栄養失調やケガ、病気などで使いものにならなくなると、時には生きながらも捨てた 「ヒト捨て場」。そうした死亡者が大規模に埋葬された場所。平頂山事件のような 大量虐殺による万人坑や軍事要塞周辺や労工狩りの収容所周辺で発見された万人坑もあるそうです。
これまで、日本が中国を侵略したかつての戦争中、中国国内で中国人を強制連行され、 劣悪な環境で労働を強いられた結果、亡くなられた甚大な数の犠牲者の遺骨が横たわ る万人坑の現場を参観しました。そして、その裏側に中国国内での「強制連行」と「強制労働」の実態がはりついていたという事実を知りました。日本への中国人強制連行 は「花岡事件」をはじめ、ある程度知られていますが、この中国国内での甚大な被害 や地獄以下の煉獄へ送られた中国人の実態はほとんど知られていません。その被害は 大きすぎて現在も正確な被害者数は不明だそうです。
中国大陸を横断し、幾千年の永い歴史を通して中華民族に限りない豊かさを与えてきた長江。その流域でもこれまで参観してきた各地と同様に鉱山での強制労働や虐待による万人坑が残されています。また、大量虐殺による万人坑も形成されました。1943年以降、太平洋の戦局が絶望的な段階に入ると、長江流域の要衝各地で優勢な兵力の抗日軍と戦闘が行われ、住民を強制連行して酷使した事実が、周辺地域では数々の殲滅作戦や聴くに耐えない虐殺事件が報告されています。
今回は1万人規模の民間人犠牲者を出した無差別大量殺戮、重慶爆撃や大虐殺事件でありながらほとんど知られていない、太平洋戦争期最大の廠窖大虐殺、淮南炭鉱での強制労働や虐待の事実、最後に南京大虐殺の実相を学ぶ非常に重い内容になりました。
悍ましい細菌戦があった常徳、大虐殺があった廠窖や南京では被害者や当時を知る方々から証言をお聴きする予定です。
中国各地に今も遺る侵略の事実をより深く学習し、伝え、今と未来に活かしていきたいと願っています。
詳細 http://hugocafe.asablo.jp/blog/2016/05/23/8094980
※写真は参考書籍の表紙です。http://duan.jp/item/044.html