【日本僑報社発】日本僑報社・日中交流研究所は、今年の第12回「中国人の日本語作文コンクール」(主催:日本僑報社・日中交流研究所)の開催に併せ、中国で日本語を教える教師の皆さんから、その指導体験や指導方法をまとめたレポート作品(コラム・エッセイ風でも可)を随時、募集しています。
このコンクールで教師の指導体験文を募集するのは、昨年に続いて2回目。
6月13日には、記念すべきその第1号となる作品が寄せられました。貴重な体験をご紹介くださったのは、山東省済南市の山東政法学院の日本語教師、藤田炎二先生。藤田先生は、昨年の第11回日本語作文コンクール最優秀賞受賞者・張晨雨さんの指導教師でもあります。
「私の作文指導法――この難しい作文をどう書くか」と題した作品で、それによると藤田先生がこの日本語作文コンクールに参加したのは、昨年に続いて2回目。
作文を指導する中で、難しい日中関係を前提にして「両国の明るい未来への答えを、日本語の勉強を始めて数年の若者に求めるのは、荷が重すぎるようにも思われる」と、学生にとっての課題の難しさ、また教師にとっての指導の苦悩を正直に打ち明けられています。
さらにテーマを「日本語を勉強する人にとっての最終的なテーマ」である「日本語を勉強してやりたいこと」に絞り、学生たちの参考にしてほしいと自身の軌跡を踏まえた「中国語を勉強してやりたいこと」という作文を書いて読んでもらった、といいます。
藤田先生によれば、このテーマの作文で重要なのは「なぜ、自分は日本語を勉強しているのか、徹底的にそれを見つめてもらうこと」、「心や考え方の襞に触れるような話を書くには、日本語の能力もさることながら、それをさらけ出す決心が必要」であること、さらに「この作文を誰に向けて書くのかをはっきりさせる」ことなどなど……。
こうしたポイントを伝えると、ほとんどの学生が最初の作文のテーマを見直し、書き直してきたそうです。そしてその作文をもとにして「文法や、より正確に気持ちや事実を表現する言葉遣いなどは、中国語も日本語も使って、徹底的に話し合った。ほとんどが一対一で、一回は3-4時間。終わると一緒に、美味しいものを食べに出る。多くの学生はこれを10回、少ない学生でも5回はこんな機会を持った」。
時間をかけ、推敲に推敲を重ねて、今年は7人の作品を無事応募したと藤田先生。
「今回の応募を終えて、彼らがそろって投げてくれた言葉が嬉しかった。『先生、入賞するとか、しないとか、もう、どうでもいいんです。私は、自分を見つめて、自分の中に私なりの答えを見つけることができました。これで十分です』」
こうして作文コンクールへの応募は「学生以上に、私が中国の学生の考え方を知る貴重な機会」となり、先生による「私の日本語作文指導法」は、応募した学生にも、応募しなかった学生にも読んでもらい「目の前にいる日本人はこんなことを考えているんだと感じてもらえれば」と執筆への思いが明快に綴られています。
※ 「私の作文指導法――この難しい作文をどう書くか」(全文)
山東政法学院 藤田炎二先生
http://duan.jp/news/jp/20160613.htm
※ 第12回「中国人の日本語作文コンクール」 教師の指導体験文も募集!
http://duan.jp/news/jp/20160511.htm