中国人強制連行忘れないで 慰霊碑資料集を刊行
2016年08月09日 01時41分
第2次世界大戦中に九州などに強制連行され、過酷な労働環境で死亡した中国人を追悼する全国の慰霊碑についてまとめた初の資料集「強制連行中国人 殉難労働者慰霊碑」が日本僑報社(東京)から出版された。九州では福岡、長崎、熊本3県の4カ所を収録。関連施設が世界文化遺産に登録された三池炭鉱に関わる碑を維持管理している人たちは「強制連行という『負の遺産』も忘れずに引き継いでほしい」と話している。
資料集は、在日中国大使館が戦後70年の昨年9月、強制連行犠牲者の慰霊活動を続けている各地の団体に呼びかけて開催した座談会をきっかけに作成。各地の強制連行の概要や慰霊碑建立の経緯、現在の活動状況などをまとめている。全国約40カ所のうち、九州からはいずれも炭鉱と関係の深い福岡県田川市と大牟田市、熊本県荒尾市、長崎市の碑を紹介している。
昨年の座談会で、大牟田の碑について報告した日中友好協会福岡県連合会(福岡市)事務局長の星野信さん(72)は「福岡県内では三池炭鉱など16事業所に6090人が強制連行され、うち約1割の648人が亡くなっており、北海道に次いで多い」と指摘。「このような負の遺産も世界遺産に盛り込むよう働きかけを強めたい」と話す。
強制連行に関する外務省の報告書によると、1943年から敗戦までに国内135事業所に3万8935人が送られ、6830人が死亡した。
資料集はA5判318ページ、3024円。
=2016/08/09付 西日本新聞朝刊=http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/265036