日中記者交換40周年記念出版の三冊目として、岩城浩幸・TBS解説委員(元北京支局長)ご夫妻の初めての著書である『大陸逍遙―俳句と随筆で綴る体験的中国』は、2005年、日本僑報社より刊行された。http://duan.jp/item/007.html
【内容紹介】 日中両国で特派員が交換されるようになって四十年、これまでに夫々の国に駐在した記者は五百人を超える。その中に、中国大陸の各地を逍遥しながら、見たまま聞いたまま、中国のありのままの姿を俳句と随筆で記録していた日本人記者夫婦がいた。
時は九〇年代、中国が名実ともに大国に向けて舵を切り、猛然と進み始めた頃。経済協力、天皇訪中と日中関係も大きく変わり始め、同時にさまざまな摩擦も表面化し始めた。この時期、中国の一般市民は何を考え、大陸の各地では何が見えたのか。散文によるスケッチは、ニュースでは伝えきれない現代中国の実像を鮮やかに描き出した。時に爆笑したり、苦笑したり、そしてほろりとさせられる筆致は、著者夫婦が中国の社会に素直に、そして深く溶け込んでいたことをうかがわせる。詩人で漢字俳句の第一人者である林林氏を夫婦で訪問し、新たな面で日中間の交流を模索した一幕も描かれている。
一方、いま様々な局面で表面化している日中間の問題は、夫々がお互いの姿を等身大で見ていないからではないかと著者夫婦は指摘する。政治評論でも分析でもない本書が、何より明らかに問題の所在や原点が、この九〇年代にあったことを浮かび上がらせた。本書はもともと、著者夫婦の友人である中国人ビジネスマンが翻訳して中国で出版されることを目的に書かれた。中国でも異例且つ画期的な出版、その原作である。
※刊行して間もないとき、時の報道参事官黄星原さんが著者夫妻と王毅大使訪問を実現させた。右は大使秘書官楊宇氏。いずれも段躍中撮影