
鴫原さんと中国語の「ラブストーリー」
—— 中国語サロン「漢語角」の日中友好物語(三)
思菡
もともとスペイン語を勉強するつもりだった若い頃の鴫原さんは、まさか将来、自分が中国と一生繋がっているだろうとは思いもしなかったろう。
「河南省は知ってるよ。鄭州、漯河、洛陽にも行ったことある。」痩身で背の高い鴫原さんは言う。そういう鴫原さんに会うやいなや、親近感が感じられた。私の実家、河南省にそこまで詳しい日本人と出会ったのははじめてだったから。
鴫原さんと中国との付き合いが始まったのはかなり前のことだ。定年まで、ずっとメーカーで働いていた鴫原さんは、仕事の関係でよく河南省にいき、北京にも4年間ほど駐在していた。「北京に駐在していた間に中国人の友達ができ、一緒に旅行したりしているうちに、中国が好きになったんだ。」と。
北京に駐在していた時から、鴫原さんは中国語を勉強しようと思っていた。そこで、4年前、西池袋公園にある日中交流会「漢語角」に参加を始め、去年の9月に定年になったあとも、毎週「漢語角」に通い、中国人との交流を深めている。
中国語の勉強に関して言えば、鴫原さんは若い学生よりもずっと努力している。彼は必ず毎日1時間NHKの中国語学習番組を、きちんとメモを取りながら聴いている。鴫原さんが携帯に保存している学習メモには、四字熟語、ことわざなどをきっちり分類整理してある。そして新しい単語を学ぶたびに、その単語の意味と出典に至るまでいちいち記録している。
もっと驚いたのは、鴫原さんは中国語の初心者なのに、発音がとてもきれいなことだ。そのコツは口の開け方の練習なのだそうだ。鴫原さんはNHKの中国語学習番組を通して、口の開け方を模索しながら、発音を練習したのだそうだ。このように中国語を一から学び始めた鴫原さんは、それから中国語学習の階段を一歩ずつ上っていった。
中国人の友人たちと山に登ったり、中国語で交流したり、あるいは、中国語コンテストに参加して選手に応援したりと、鴫原さんは単に中国語を勉強するばかりでなく、中国語を楽しんでいる。
中国と出会い、中国に興味を持ち、中国語を学び、中国語を楽しむ。それは鴫原さんと中国語の「ラブストーリー」だ。