第四回華人学術賞受賞作『近代の闇を拓いた日中文学―有島武郎と魯迅を視座として』は、日本僑報社より刊行された。
詳細
著者は康鴻音博士。氏は中国瀋陽生まれ、黒竜江大学日本語学部卒。1987年来日。1988年、大妻女子大学大学院文学研究科修士課程入学。1990年同修士課程終了(文学修士)。1990年大東文化大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程入学。1995年同博士課程終了。1995年3月、文学博士号取得。以後、大妻女子大学、城西国際大学、大東文化大学、東京経済大学、慶応義塾大学など各大学非常勤講師を歴任。「中国語」「日中翻訳技法」「日本近代文学」「東洋文化史」の教科担当。
この作品について、以下の先生から推薦の言葉を頂きました。
康鴻音氏の仕事(実績)は日本文学研究学界においても十分注目されるものであり、彼女の仕事が公刊されることで、日本文学研究に寄与するところは極めて大きいと言えましょう。
現今の世界情勢はきわめて不穏な様態を見せています。有島も魯迅も差別を拒否し、平和を求めた人でした。真の知性、理性が求められる現状において、有島と魯迅を今に蘇らせて人間の生き方を考えるよすがともなれば、本書刊行の意義はさらに倍加されるでしょう。
康鴻音氏の仕事を高く評価する者として、彼女の仕事が公刊されることで有島・魯迅研究の進展も期待されることを私は信じて疑いません。
渡邊澄子・大東文化大学名誉教授
氏は有島と魯迅との比較研究によって、日本近代文学研究に一つの新しい分野を切り拓いた、といってよい。多くの人に本書が読まれることを願ってやまない。
石丸晶子・東京経済大学教授