
9月6日付けのネット掲載です、ありがとうございます。転載させていただきます。
上海総領事を務めている外交官の著者が、上海を切り口に日中外交史を振り返るユニークな著作。
上海の歴史や日本との関わりをひもとき、かの地に関わった重光葵や松岡洋右ようすけら11人の外交官の軌跡を振り返る。そこから導き出したのは、外交官の信念と勇気、誠実さが持つ大きな意味、情報収集力や人的つながりの重要性などだ。そこに問題があったからこそ、対米戦と破局につながったのだと著者は結論づける。
戦前、中国には大使館や総領事館などだけで60以上の拠点があったという。そして今も、企業の拠点数などが世界最多クラス。今も昔も、中国との付き合いが「日本の最大の外交課題」というのも過言ではない。外交の難しさと責任の重さを、改めて思い起こさせてくれる一冊だ。(日本僑報社、3600円)(佑)
2017年09月06日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun