「緑促会」は1998年の中国長江・松花江大洪水後、1999年3月に東京大学農学部にて設立された「緑色文化国際交流促進会」の略称であり、主に日中両国の学生や社会人からなる民間団体である。これまでは主に学生や研究者、ボランティアなどを主体に学際的・国際的な勉強会や交流会などを開き、そして「緑の募金」の助成を受けて中国において実際の植林や環境教育活動も長年行われてきたのですがこれからは大学や日中だけでなく、アジア全体まで視野を広げ、団体名も「アジア~」に変えようと検討しているところです。今年度は経団連自然保護基金の支援金申請に成功し、4月から雲南省での「三江併流」世界自然遺産地域において生物多様性保全事業を開始しました。
「三江併流」全体としての対象地域は7つの地理的保護区群を含みながら、アジアを代表する3つの河川の上流が併走して流れている「三江併流」世界自然遺産(Three Parallel Rivers of Yunnan Protected Areas)です。同自然遺産は青海―チベット高原地区に発する長江上流 (Jinsha),メコン(Mekong)、サルウィン(Salween)の3川が雲南省西北部で約170キロ並行して流れ、標高6000m以上の氷河地帯から3000m以上も北から南に流れ下ります。またこの一帯は中国の生物多様性の象徴的な場所でもあり、貴重な動植物が見られます。世界のホットスポットの一つとも呼ばれている。また、同地域にはチベット族、ナシ族、バイ族、リス族など16の少数民族地域である。保全プロジェクトは、この地域の貴重な原生林を保護させ、危機にさらされる自然生態系と生物多様性を復活させ、地域住民の環境意識を高め、生活向上ならびに安定を図り、循環型社会づくりや持続可能な地域の発展のための自然資源保全にも寄与するものである。特に、現地に生物多様性保護センターの設置や日中やそしてアジアからのボランティア活動によって人と自然を共生させ、持続可能な参加型生物多様性保全プロジェクトが期待出来る。「三江併流」地域は世界自然遺産リストに登録されたが貴重な生物多様性の価値は現地政府や住民達の意識が必ずしも高いとは言えない。それどころか、経済優先の下で政府主導の観光開発が急速に進み、住民も自然への認識が薄く、地域の紛争も頻発し、現地NGOの力が弱く影響力も限られるため、貴重な動植物が寧ろ危機にさらされていると言える。そして、「緑促会」は先ず老君山における希少動植物や絶滅危惧種を調査する。特に、絶滅危惧種である雲南紅豆杉、一部のサクラソウ属植物、ラン等を重点に、当会会員と関係専門家と住民が協働で行う。老君山の麓に位置する蘭香村周辺に植林活動と社会調査も行い、桃花村にて生物多様性保全と現代法正林センターを創立させる。原生林地区の自然保護や資源の管理利用の実態調査も続ける。法正林的モデルの確認や保全監視システムの作成を実施し、写真展示会、環境教育セミナーなども開催する。将来的には森林モニタリングや生物多様性センター利用規程も検討する予定である。スケールが大きく、地形や自然環境と民族文化の多様性に富む複雑な地域ではあるが最初は保全の基盤を整備し関係者の情熱を高めることは成功の道への鍵となるでしょう。
ちなみに、「緑促会」は従来、自然保護や環境保全、植林活動など「緑の色」を通じて、文化レベルでの国際交流を促進し、健全な人間性養成と真の国際理解を目指し、学際的・俯瞰型新しい環境学の構築を目途に現地住民や青少年団体との交流を重視する中でお互いに生の環境教育を受けてきた。1998年大洪水の多大な被害を受けた中国において、持続可能な森林管理と利用、自然保護や生物多様性保全の重要性を痛感し、1999年設立後直ちに関連活動を続けてきた。最初は実態調査や下勉強ということで、積極的にフィールド調査やセミナー、交流会といったものに着目したが、その後は「緑の募金」を受けて実際の植林活動や環境教育活動を行ってきた。長江上流域において、緑色希望プロジェクトや環境教育林事業を実施し、少しでも「母親河」の一つとしての長江を守り続け、川沿いに生態林や経済林などを植えてきた。そして、現地住民の環境意識を高め、子供達には環境学習と大きな夢与え、視野を広げ、そして国際理解や日中友好を深めるということで、今でも長江第一湾曲や沖江河近辺の人々と協働し環境教育林の建設を続けています。今年度からは自然保護・環境教育・生態建設(植林等)といった「三部作」協調でより大きな事業を実施し地球環境の改善により貢献していきたいと祈念しているのである。(日本僑報特約記者 和愛軍)