人模様:「中国版ロミオ」を伝えたい--元高校教諭、渡辺明次さん
中国版ロミオとジュリエットとも言われる悲恋伝説「梁山伯と祝英台」のゆかりの地をくまなく踏破し、考察した元高校教諭、渡辺明次さん(64)=東京都小平市=が新著「
梁山伯祝英台伝説の真実性を追う」(
日本僑報社)を出版した。
渡辺さんは定年後の02年、北京外国語大学に留学。中国語はゼロからのスタートだった。ある時、教科書の「梁祝伝説」を読んだ。中国では有名な伝説だが、日本ではほとんど知られていない。持ち前の探究心から、のめり込むように調べ始めた。
伝説では、杭州に学問に来た男装の祝英台が青年の梁山伯と恋に落ちたが、祝には親が決めた婚約者がいた。悲嘆のうちに梁は病死した。婚礼の日、祝が梁の墓前に参ると墓が割れて中に吸い込まれ、墓の中から一対のチョウが舞い上がったという。
点在する墓所など十数カ所を巡り、「単なる愛情物語ではない。梁山伯という民を救った清廉な役人の実話だったが、次第に愛情の部分が強調されていった」と分析した。中国の学術研究会「中国梁祝文化研究会」にも高く評価された。「美しい話を日本に広く伝えたい」と話す。【鈴木玲子】
毎日新聞 2006年6月22日 東京夕刊