沖縄タイムズ<2006年6月22日> 夕刊 1版 総合1面(木曜日) カラー
[今晩の話題]/身近な中国語
県内で唯一の中国語コースを持つ向陽高校(大城浩校長)で去る日曜日、「身近な中国文化」をテーマに「中国語学習成果発表会および日中交流会」が開かれた。参加したのは二、三年生の代表九人。表現力や流暢さなどを競い合った。意義深く、楽しい催しだった。
琉中交流五百年を誇る沖縄らしいテーマ設定。それに基づき生徒たちが過去の体験や新たに調べて得た事柄を中国語で表現し発表したのだが、レベルの高さは相当なもの。
探してみたら身近に、こんなにも多くの中国文化があったのかといった驚きと感動がにじみ出ていた。それはまた中国語を学んでいるという喜びにも満ちあふれていた。
古い記憶だが取材で福建省から淅江省へ一カ月かけて旅をしたことがある。その時の感動は今でも忘れない。
言葉でいえば、福建語で魚を意味する「ィユー」はウチナー口の「イユ」とほとんど同じに聞こえ、満腹を意味する「ツ(チュ)ハーラ」を耳にしたときは、あまりに似ていて涙が出た。
中国語を学ぶ動機は人それぞれ。それでも根底にはその国の歴史、文化、人を知ることで沖縄と中国、ひいては日本と世界の国々の役に立とうという高い志があるはずだ。
短期留学で抗日運動を目の当たりにしたにもかかわらず「私たちが日中友好の懸け橋になる」と述べた生徒もいた。
困難に立ち向かう若者らしい情熱は、将来かならずや世界に通じること間違いない。(上間昭一)