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日本僑報電子週刊 第620号 2007年2月28日(水)発行
http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
■段躍中日報 http://duan.exblog.jp/■
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●佐藤公彦著『「氷点」事件と歴史教科書論争』刊行特集●
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編者より
お待たせいたしました。このたび、長い間ご予約だけを受け付けていた
『「氷点」事件と歴史教科書論争―日本人学者が読み解く中国の歴史論争』
を刊行いたします。http://duan.jp/item/052.html
これまで、「氷点」シリーズは、当社から3冊刊行いたしております。新
たな視点からの1冊として、4冊目を日本人の学者として佐藤公彦教授が
ご執筆下さいました。
佐藤教授は、中国近現代史を貫く民族主義と近現代主義の思想潮流の中で
行われた「氷点」事件の論争を、歴史学的に分析することを通じて、今の
中国の言論・学術の自由、思想傾向の赤裸々な姿を浮かび上がらせました。
また、論争評価史的な光を当てることによって見えてくる現代中国の思想
文化状況から、「氷点」事件論争の歴史的な位置を明らかにされました。
「氷点」事件に関して、これまで単発に記述したものは少なからずあると
思います。しかし、同じ出版社から書籍を重ねて出版することによって、
論がより深まったものを、読者の皆様にお届けできると存じます。
その上、4冊目を出版することによって、ワンサイドから見た議論ではな
く、中国人側・日本人側、そして4者の異なる研究視点から多角的に、論
争を捉えることができると自負しております。
是非、ご一読賜りますよう、お願いいたします。
段躍中@2007.2.28
※氷点シリーズは全部で4冊あります。
1-『「氷点」停刊の舞台裏』(李大同著、三潴正道監訳、而立会訳)20
06.6刊行http://duan.jp/item/037.html
2-『中国の歴史教科書問題―『氷点』事件の記録と反省』(袁偉時著、
武吉次朗訳)2006.10刊行http://duan.jp/item/043.html
3-『「氷点」は読者とともに―いま明かす苦闘の歳月』(李大同著、武
吉次朗監訳、久保井真愛訳)2006.11刊行http://duan.jp/item/040.html
4-『「氷点」事件と歴史教科書論争―日本人学者が読み解く中国の歴史
論争』(東京外国語大学教授佐藤公彦著)2007.2刊行
http://duan.jp/item/052.html
◆目次◆
【内容紹介】
【あとがき】
【本書の目次】
【著者紹介】
【書誌データと注文先】http://duan.jp/item/052.html
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【内容紹介】
二〇〇六年旧正月に発表された『中国青年報』付属週刊『氷点』の停刊
命令のニュースは全世界を駆けめぐった。文化大革命の時と同じく、共
産党権力による学術言論への弾圧攻撃が始まるのではないか、という危
惧を感じさせたからだ。掲載紙の『氷点』は、中国ジャーナリズムの良
心として高い評価の紙面だったから、一層注目を集め、内外から言論弾
圧への抗議の波が起きた。
原因は『氷点』が中山大学教授・袁偉時の「現代化と歴史教科書」とい
う論説を掲載したことだった。それは自由主義の立場から、現歴史教科
書は文革時と同じ「狼の乳」を飲ませている、第二次アヘン戦争と義和
団事件の「左毒」記述は間違いで、皇帝、官僚、民衆がみな「愚昧」で
極端な民族主義にとらわれて無謀な抵抗や破壊を行なったから、円明園
焼失や国辱を生んだのだと批判し、民族主義・階級闘争絶対化の思想は
現代化に合致しないのだと主張した。
掲載後、ネット上でその非抵抗主義に対する批判の嵐が起き、再刊後の
『氷点』に張海鵬のマルクス主義派からの批判論文が掲載され、第二次
アヘン戦争の不可避性と英仏の侵略者の本質を強調し、欠点ある義和団
の原始的反帝国主義は認められるべきだと主張した。それらに袁が歴史
学的に反論し、論争になった。
袁の教科書批判は、国家(共産党)意思を体現した歴史教科書の批判を
意味し、とりわけ九一年の江沢民指示以来推進されてきた近現代史教育
強化の愛国主義教育に対する批判という位置を占めたから、党の逆鱗に
触れたのだ。
両者の論争は中国近現代史を貫く民族主義と近代主義の二思想潮流の対
立の重演で、それぞれ長所と欠点を持っているが、多数を巻き込んだこ
の論争の論争点を洗い出し、内容を歴史学的に分析することを通じて、
今の中国の言論自由と学術自由、思想傾向の赤裸々な姿が浮かび上がっ
た。また、論争に論争評価史的な光を当てることによって浮かび上がる
現代中国の思想文化状況から、この論争の歴史的位置が明らかにされる。
http://duan.jp/item/052.html
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