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日本僑報電子週刊 第635号 2007年4月18日(水)発行
http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
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●武吉次朗著『日中中日 翻訳必携』刊行特集●
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編者より
「翻訳は、おもしろい。翻訳は、おそろしい。翻訳は、奥が深い」 武吉次朗先生著『
日中・中日 翻訳必携』が刊行されました。
中国語を学ばれた方なら、「武吉次朗」という名前に中国語をはじめて紐解いた初学を思い出される方も多いのではないだろうか。武吉次朗という名前が著者や編者に冠された本を辞書とともに傍らに置き、ページを繰ったあの日々のことです。
本書は、その武吉次朗先生による最新の労作です。40年にわたる翻訳歴と講座主宰の経験をもとに、翻訳の達人が軽妙にノウハウを明かしています。「コッテリ中華の中国語と、お茶漬けさらさらの日本語」をキーワードに、項目ごとに豊富な例文をあげて丁寧に解説されていらっしゃいます。
特に、「中国語の長文を理解する手がかり」「品詞ごとの具体的処理法」「良い訳文と良くない訳文の対比」は、ユニークですぐ役立つと、受講者の好評を博したものであります。翻訳の基準と筆者が述べる「信(忠実に)、達(なめらかに)、雅(美しく)」の実例は、説得力に富みます。
中国語を学んでいく上で、ちょっとした問題に突き当たったことはなかったでしょうか。本書では、付録やコラムも充実しており、付録では中国語の新語・外来語・独特の用語の解説・日中双方の固有名詞の表記法などに言及しています。また、コラムでは「日中」と「中日」どちらが先か・数字のあつかい・要注意の女性ことば・辞書の勧めなど、知らないと困りますが、実は何を見れば載っているのかわかりにくく調べにくい問題も、欠かさず触れられています。
また、劉徳有先生(中華人民共和国文化部(省)元副部長(次官)、毛沢東や周恩来などの通訳を務める)との対談も収録しています。中国語を訳すこと、日本語を訳すこと、両者に関して実体験に基づいた示唆に富んだ意見を読むことができます。
「翻訳は、おもしろい。翻訳は、おそろしい。翻訳は、奥が深い」(あとがき)という著者の述懐が納得でき、翻訳という作業への興味をかきたててくれる1冊ではないでしょうか。一種のハウツー物でありながら、文化の香りがただよう不思議な本であるともいえます。中国語を学ぶ皆様にとって、あらたな「必携」の書にしていただけましたら幸いです。
最後に、中国語教育学会会長・大阪外国語大学教授 古川 裕先生のご推薦に心から御礼を申し上げます。
ぜひ、ご一読賜りますよう、お願い申し上げます。
段躍中@2007.4.17深夜
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