★日中国交正常化35周年・人民日報創刊60周年記念出版★
必読!今、中国が面白い
―中国が解る60編―
麗澤大学教授三潴正道 監訳 而立会 訳
2007.6.28発売予定
ISBN 978-4-86185-059-2
【内容紹介】 本書の目的は、二〇〇六年に人民日報に掲載された様々な評論や報道記事から選び抜いた六〇編を通して中国の今を理解しようというものです。それぞれ何らかの形で中国と接点を持つ方々、特に中国ビジネスに従事する方々は、幅広い分野にわたり具体的事例を踏まえた最新情報を満載しているこれらの文章を読むことで、めまぐるしく変わる中国を理解するベースができ、等身大のそしてバランスの取れた中国観を身につけることができるはずです。
人民日報は中国共産党の機関紙で、党や政府のプロパガンダとしての役割を担うがゆえにその内容には大きな制約があり、一般庶民と距離があることは周知の事実です。
その一方で、そうであるがゆえに、党や政府の政策や方針を理解するにはこれに勝る情報源はありません。したがってこれまでも「現代中国研究者や中国ビジネスに携わる人は必読」とされていました。
その一方で、最近の人民日報に、思想的・文化的にきわめて質の高い文章や、党や政府の不正を摘発し社会の不公正を糾そうとする“正気”溢れる文章、記者たちのジャーナリストとしての自覚と誇りがいかんなく発揮されている文章が増えつつあることはあまり知られていません。過去の印象が強烈すぎたのかもしれませんが、日本でもほとんど紹介されておらず、これは大変もったいないことだと思います。
実は我々はこれらの文章を通して、中国が今抱えている問題やそれに対する取り組み方をかなり正確に把握することができます。また、中国と日本の異文化ゆえの価値観の違いや、中国ならではの特殊事情をも理解することができます。更に、今中国人が何を考えているのかが実に良くわかります。ご覧になった方は、人民日報も腐敗や不正をかくも厳しく糾弾する記事を載せているのだ、とびっくりされるでしょうし、その取材や分析の質が年々向上していることも事実です。
もちろん、人民日報には俗に言う提灯記事(この本では選別対象外)が沢山ありますし、収録した文章も党や政府の厳しい検閲を受けたものであり、多くの場合その掲載になんらかの意思が反映されていることは当然です。しかしそこからも、党や政府の姿勢の変化やもはや抗うことのできない社会の変化を読者は敏感に読み取ることができるのです。
親中の人も嫌中の人も、そういったレッテルとは無縁の人も、みんなが自分の目でこの本を読むことが大事だと思います。相手にレッテルを貼るだけで個々の内容に是々非々で望めないのは日本人の島国根性の悪い癖ですが、良いものは良い・悪いものは悪い、と評価する科学的・客観的な見方を育てることがこれからの日中関係には不可欠でしょう。
この本を通して日本における中国観に健全かつ公平な批判的精神が醸成されることを期待します。(本書「まえがき」より)
●翻訳者一覧、稲葉洋子・大場悦子・岡田英久・小沢千代子・小野崎正顕・金子伸一・清本美智子・石文媛・張進旺・徳永憲昭・名久井綾・野澤靖之・野村和子・広瀬由美子・福田夏花・柳川俊之・李原翔(敬称略)