村上春樹現象 中国のブーム、実証的に
2007年08月01日朝日新聞文化面
足で稼いだ論文、と呼んでいいだろう。筑波大大学院の図書館情報メディア研究科で学ぶ中国人留学生王海藍(ワン・ハイラン)さん(32)の修士論文「中国における村上春樹の受容」は、中国で顕著な村上春樹現象を実証的にリポートして興味深い。
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2人は黒古(くろこ)一夫・同大教授に指導を受ける王海藍(ワン・ハイラン)さんと康東元(カン・ドゥンウェン)さん。王さんは昨年10月、山東省の山東大など5校の学生346人を対象にアンケートを行った。村上春樹の名前を知っていた人は全体の92%で、66%の人が読んでいた。読後感は「孤独と無力感に満ちている」が81%と多く、「社会システムや共同体を冷ややかに傍観」(39%)、「大量の性描写」(35%)の順。「ノルウェイの森」は192人が読んでいた。
康さんは北京の中国国家図書館などで中国語に訳された日本文学を調査し、この1月「日本近・現代文学の中国語訳総覧」(勉誠出版)を著した。107年間の5723点を収め、中国語訳の日本文学をほぼ網羅しているという。
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