第27回CCFD研究会のご案内(The 27th Chinese CFD Seminar)
題目: 今の材料系CAE・現象記述=モデル化?
講師: 辛平 博士 (コバレントマテリアル株式会社・コアテクノロジーセンター・シミュレーション技術グループ長)
日時: 2007年9月1日(土)15時~18時
会場: 理化学研究所・研究交流棟3F会議室(W317,W319,W321)
交通: http://www.riken.go.jp/r-world/riken/campus/wako/access.html
地図: http://www.riken.go.jp/r-world/riken/campus/wako/bldg.html(60番建物)
講演概要:
CAEは、定義が色々あるものの、ありありとの中身で自明となっている。CAEは現象観測、現象記述、現象の数値解析のスパイラルによる技術課題の解決プロセスである。とりわけ現象のモデルを数値化方法で決められた手順で計算機上で行うことを特徴とする。CAEによる課題解決には汎用CAEツールの進歩が大きな役割を果たした。
材料系CAEは、敢えて機械系CAEと区別する言葉だが、厳密にその範囲を限定されない、できない。技術課題の解決という目的、さらにこの目的を達成するための基本手順は材料系CAEも機械系CAEも同じだが、現場のCAE技術者が工夫・苦労している方向が偏っている。機械系CAEは基本的に決まった運動量、エネルギー輸送現象においても、数値計算アルゴリズムや離散化手法などには工面するのに対して、材料系CAEは、まず物理現象の抽出及び現象論の数学記述に大きな労力を落としている。この現象は、コンピュータハードウエアや汎用CAEツールに大きく関わり、材料系CAEを支えるプラットフォームはまだ機械系CAEほど構築されていないと言える。さらに、CAEの研究及びソフトベンダー産業にとって、新しいCAE時代の課題と市場を意味しているではないか。
CAEによる技術課題解決の幾つかの事例を用いて、材料系CAEにおける現象記述、すなわちモデル化の重要性を強調する。現場においては、CAE技術者は不足し、真のCAE技術者が一握りだ。さらに、課題の解決には、このCAEの一連の手順をアレンジする感性も、粘り強く積極的に立ち向かう姿勢も重要だろう。これはもはやCAE範疇を超えた問題だろう。
講師略歴:
「文革」後、回復した中国の大学受験制度の第1期生(1977級)として、鞍山鋼鉄学院(現遼寧科技大学)に入学。その後、直北京鋼鉄学院(現北京科技大学)の修士課程、さらに博士課程に進学。1986年に博士課程在学のまま(中退に相当)日本留学。1992年に東京大学工学博士学位取得。汎用有限要素法ソフトウェア開発(武田技術開発(株))の経験をさらに積み、現職のコバレントマテリアル(株)(旧東芝セラミックス(株))に入社、今日至る。数値解析技術をツールとして、金属、半導体及びセラミックスなどの広い材料分野において技術課題の解決を一貫してきた(いわゆる材料系CAE技術者)。