日本僑報社・日中交流研究所主催「第三回・日本人の中国語作文コンクール」(中国大使館・人民日報社人民網等後援、「2007日中文化・スポーツ交流年」認定事業)は、厳正な審査の結果、30日に受賞者36名(佳作29名)が決定した。 (
受賞者一覧はここです)
第三回となる今年は、総計74本の作文の応募があった。23の都道府県、海外4都市の幅広い年齢層の日本人(9~71歳)から応募があり、あらゆる世代が参加したといえよう。応募者には、特に小・中学生の存在が目立った。昨年の学生の部・最優秀賞受賞者、安部京さん(当時8歳)に引き続き、日中友好に携わる機会の乏しい小・中学生に大きく門戸を開き、次世代の育成に勤めている点が意義深い。
第三回のテーマは、「寄語奥運・寄語中国」をキーワードに、①「2008年 北京オリンピックへのメッセージ」②「中国の環境保護における日中協力について」をテーマに行われた。応募作品はいずれも秀作で審査は難航したが、最優秀賞(中国大使賞)には学生の部では新保隆之氏(東京外国語大学三年生)、社会人の部・最優秀賞、久保裕之氏(京都府、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所職員)が受賞の栄誉に輝いた。
学生の部・最優秀賞、新保隆之氏は、「『ハリネズミ』を『ねずみ』に変えた中国」と題し、中国・瀋陽に留学したとき、自分は人と距離を取って接するハリネズミであったが、中国人の人情味によってハリのないネズミになったと述べた。最初は馴れ馴れしいと思った中国人の接し方であったが、その人懐っこい態度が子年の今年、北京オリンピックを成功させ、世界各国の人々のハリを縮め、ネズミの家族がくっつきあって暖を取るようなあたたかい関係を築くだろうと述べている。
社会人の部・最優秀賞、久保裕之氏は、「オリンピックでは中国の特色をもつ文字表記を」と題して、北京オリンピックへの具体的かつ実現可能な提言をしたことが評価された。案内図やプラカードに漢字を使用すると同時に、できる限りその国の言葉も併記する。そのことによって、中国が独自の文化と価値観を有することを紹介し、そして世界にも多くの価値観があり、どの国・地域も外国のそれを尊重すべきであると提唱ができると提言している。
また、小・中学生も負けじと提言を行っている。一等賞の布施望くん(東京都府中市立矢崎小学校・10才)は、小学生ならではの瑞々しい感性で、北京オリンピックに関わる「五」を中国人の友人と考えたことをまとめている。五輪(5つの輪)、5種類のマスコット(福娃、フーワァ)、この2つを足すと10になり、布施くんと友人の年齢となる。
二人は北京オリンピックでスローガン「同じ夢、同じ世界」が実現するところを見たいと願う。きっと「布施望(=不失望と同じ発音)」だろうとユーモラスにまとめ、そこに次世代の日中交流が「不失望」であることをうかがわせる。
二等賞の西田聡くん(舞鶴市立城南中学)は、在日中国人との交流を通して、日本社会に隔たりや偏見、差別意識がなく、平等で対等であるかと自答し、北京オリンピックのスローガンが実現していくよう将来は日中間を結ぶ外交官になりたい、と夢を述べている。
表彰式は3月28日に東京で行われ、コンクールの優秀作品集(日中対訳版)は日本僑報社から3月下旬に刊行される予定。日中交流研究所・段躍中所長は「『作文』は文章を通じて人をつなぐもの。作品集が日本の中国語学習者からの提言として、市井の人々のまなざしを反映し、日中相互理解の一端を担うことを心より願っております」と述べた。
同研究所は、「一般の人々」、つまり政治家や外交官など特別な立場にある人ではなく、両国の友好を支える基盤のとなる人々の提言が、広く伝わることを願っている。そのため、日本人の中国語コンクール作文同様に中国人の日本語作文コンクールを行っている。