これは携帯投稿です。 4月号の誌面です、ありがとうございます。
『大川周明と近代中国』 中国研究月報に大きく登場
『
大川周明と近代中国―日中関係のあり方をめぐる認識と行動』の書評が、『中国研究月報』に大きく登場しました。
野村浩一・立教大学名誉教授が執筆されたもので、「本書は大川研究において明らかに一歩を進めるものと評価できよう」と書かれています。
また、先生は「大川に関する基礎的資料はかなり整備されてきたが、それらを利用しての分析は,なお必ずしも十分には行われてこなかった。(中略)アジア主義的ロマンチシズムの思想的,心情的文脈の中で捉えられがちであった大川の思想を,冷静に歴史の場へと引き出すことに成功しているといえるだろう」と述べていらっしゃいます。
そして、本書をもとに新たな論点が浮かび上がるとしています。一つは大川には中国への強度の軍事(武力)思考があるが、大川の思想のどこから生まれているのか。もう一つは大川は東アジアという地域(リージョン)をどのようなものとして推定していたのか。どのような地域秩序感を持っていたのか、です。これまでの大川論に新たな見地を生み出すとしています。
また、「大川と近代中国」という問題設が大きな論点を内包しているとしています。「ともすれば日本人の自己認識としての近現代史研究が,自己完結的な充足におちいりがちな側面を避けがたくひそませているのに対して、(中略)本書によってあらためて中国からの問い直しによる歴史上の対話の場へと導き出すものといっていい」と、本書の問題意識を踏まえ、歴史学における他者認識を巡る論点を提示されていらっしゃいます。
野村浩一先生、ありがとうございました。