いよいよ明後日、北京オリンピックが開催します。オリンピックを記念して、本号では「北京オリンピックに寄せて」をお送りいたします。
第三回「日本人の中国語作文コンクール」http://duan.jp/cn/受賞作品集『寄語奥運 寄語中国(北京オリンピックと中国に寄せて)』http://duan.jp/item/072.htmlから、最優秀賞ならびに一等賞(抜粋)の日本語部分(対訳部分)を配信し、オリンピック並びに取り巻く問題を考える契機にしていただければと存じます。なかでも、社会人の
部最優秀賞を受賞した久保裕之さん「オリンピックでは中国の特色をもつ文字表記を」の提言は、五輪史上初めての中国語表記導入として、オリンピック組織委員会と一致http://duan.exblog.jp/7367374/した見解です。是非、御一読下さい。
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オリンピックの開催は、中国の歴史の中で初めてです。興奮、楽しみ、期待、熱望、中国国民の願いがこめられています。そして、北京オリンピックが、アジアそして世界の平和に貢献できることを夢見ています。スローガンは「一つの世界、一つの夢」です。円満に開催されることを心から祈っています。
しかしながら、オリンピックはただスポーツの祭典というのではなく、その時代の政治・経済・社会・文化を反映しています。今年、中国は改革開放30年を迎え、素晴らしい発展を遂げたと思いますが、他方、民主化や自由は世界の先進国と比べて遅れています。そのタブーを直視し、オリンピックで得る経験を今後のよりよい国の作り方に活かしてほしいと思います。
そのために、オリンピックで重要なことが、少なくとも3つあると考えています。報道の自由、北京オリンピックその後、民間交流です。
まず、報道の自由です。様々な反論があるかと思いますが、北京オリンピックを前に、中国政府が努力していることは認める必要があるでしょう。産経ニュース(共同)の記事を引用します。
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中国共産党のメディア部門の最高責任者、李長春政治局常務委員は、10日、香港のフェニックス・テレビに対し、北京五輪期間中に海外メディアなどが中国のマイナス面を報道することを容認するとの認識を示した。
李氏は「どの国にも負の側面はあり、中国のような大きな国であれば、負の側面があることは避けられない」との認識を示した上で「中国の改革開放30年の大きな流れを見て総合的に評価してくれると信じている」と述べた。(産経ニュース7月11日付http://sankei.jp.msn.com/beijing2008/news/080711/gbh0807110033000-n1.htm)
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また、メディア関係者への暴行に対し、当局者が異例の謝罪を行っています。8月4日に新疆ウイグル自治区で一時拘束された日本テレビの記者に対して(時事通信8月5日付http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080805-00000106-jij-int)、また7月26日に香港記者団への暴行(時事通信2008年7月27日付
http://number.goo.ne.jp/news/general/article/jiji-sp-080727F697.html)でです。特に日本テレビの記者に対して、全面謝罪ではないという不十分な面はあっても、問題発生後に謝罪が速やかに行われたことは評価するべきと考えます。
ですが、そもそもメディアに暴力がふるわれたという件が問題です。報道の自由が、中国政府機関や警察官、一般の人々まで尊重され、周知されることを望みます。
今回のオリンピックは、報道の試金石となるでしょう。よりオープン、より透明化、より多くの情報をオリンピックを応援する人々、世界のすべての人々にに伝えてほしいと思います。
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2つめは、北京オリンピックの閉幕後です。小生自身もわくわくと胸高まる中、閉幕後を想像するのは難しいのですが、開きつつある報道の自由の門戸を閉ざしてはいけません。
また、オリンピックが開幕すると、多くの問題も浮上してくるでしょう。すでに、中国の環境問題は大きく諸外国でクローズアップされています。北京の大気汚染によるマラソン選手への健康被害や、水質汚染による水泳選手への影響などです。
そうした問題に目をそらすことなく、閉幕後一つ一つの問題に取り組み、改善を行わう必要があるでしょう。環境問題では、日本をはじめとする諸外国に技術支援など連携を一層強めて、オリンピックが一過性のものでおわらないように計画することが肝心ではないかと思案します。
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3つめは、民間交流です。北京オリンピックは、今日の日中関係の改善にも大きな役割を果たすと思います。日本のオリンピック史上、最大の選手団が北京に向かいます。
健闘を祈っています。
また、選手村に一番乗りした北島康介選手が言った「食事が最高」(時事通信7月28日付http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080728-00000120-jij-spo)というニュースをご存じですか。若い選手の旺盛な食欲が微笑ましく、そして北島選手の舌をうならせた選手村の縁の下の力持ちに拍手したいと思います。
オリンピックの思い出は、メダルの数や感動的なスポーツシーンだけでなく、こうした交流の一幕にも彩られます。そういった意味では、オリンピックは中国だけで開催されていません。機会があったら、近くの在日中国人に話しかけてみてください。そして、在日中国人ももっと積極的に日本人の皆さんと交流して、ともにオリンピックを楽しみましょう。
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北京オリンピックから8年後、2016年の東京オリンピックが開催できるように応援しています。一人の在日中国人として、その夢を見ています。もし2回目の東京オリンピックを中国に発信できたら、大変幸せなことだと思います。
段躍中@2008.8.6午後5時22分
※人民網日本版で、中国語の受賞作文を読むことができます。
特集「第三回「日本人の中国語作文コンクール」
http://japan.people.com.cn/35468/70584/93867/index.html