段林海氏の初著作であり、日中友好に「自らの残りの人生をかけ」ると記した意欲作『錆びた鍵』(文芸社)が、9月1日の出版です。
黄色の装幀、黒い帯に「号外」と書かれた本書は、思わずぎょっとするような色彩です。おそらく、それが意図でしょう。何故なら、著者は「ニュー東亜」の建設を呼びかけるものであるからです。
「ニュー東亜」とは著者の造語で、EUのように東アジアの統合を意図してます。東アジア共同体といった耳に優しい言葉を使わず、敢えて「大東亜共栄圏」を連想させる言葉を用い、厳しい問題提起を行っています。
怒りをこめ、著者は世界各地で地域統合への歩みがあるなかで、東アジアの日本、中国、韓国、北朝鮮は、「統合なんぞはどこ吹く風と言わんばかりの空白地帯」であり、毒ギョーザ、歴史教科書など、ばらばらどころか反目しあっていると断じています。「地理的にも近く、民族的にも同類で、文化を共有してきた東アジアが、なぜ今はばらばらで、いがみ合っているのだろうか」という嘆息が、ページの間から、聞こえてきます。
書名の「錆びた鍵」は、地域統合の鍵を握っているのは日本でありながら、使われることなく捨て置かれ、今や錆びて朽ち果てる寸前だと警鐘を鳴らしています。
段林海氏は、1961年に北京に生まれ、1987年に日本留学、現在は在日中国人初、経営者の本名を店名にした
料理店を経営しています。07年に店名を「東西南北」から
「段林海」に変更されました。60万人の在日中国人社会で、初めてのことではないか、と言われています。(
日本僑報電子週刊 第665号 2007年8月1日より)
在日中国人として日本社会で頑張る氏は、残りの人生をかけ、真の「日中友好」に向け、邁進すると、著書の最後、プロフィールに記載し、今後への更なる意欲を見せています。
ご出版、おめでとうございます。
これは携帯投稿です。