元NHKアナウンサー・木村知義氏が、
「21世紀社会動態研究所」を発足されました。
アナウンサーという要職にありながら、ジャーナリストとしての側面も併せ持った氏は、これまで「今日のニュースは明日の歴史だ!」との心情で日中を駆けめぐられてこられました。今後、取り組まれるテーマは、「中国、朝鮮半島をはじめとするアジア」「メディア」です。
7月に研究所を発足した氏は、既に北京オリンピックの取材に赴かれ、
ブログ「社会動態エッセンシャル」から発信されています。
何本もの記事が掲載されていますが、中でも開会式の記事に共鳴するところがありました。
「北京から戻って・・・」(2008年08月17日)ですが、開会式を高みに立って上から批判した「識者」の論説に疑問を呈し、ごく一般の日本人の方が「真ごころをこめて言ってあげる(中略)、問題があるからこそ、こうすればもっとうまくいくよと手助けしていくべきではないかと思うのだけど、どうですか・・・」という言葉にハッとしたと書かれています。
氏の言葉を引用します。
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メディアで仕事をしていると、問題は何か、課題は何かという思考でいつも緊張を強いられながらものを見、ものを考えることが常となっています。
(中略)
その一方で、それが薄っぺらな「批判」に堕することがないように、厳しい自戒、自制というものも不可欠だと感じてきました。さらにいえば、常にごく普通の生活に根ざす、ものの感じ方や温かなこころというものが根底になければ空虚な言説になってしまうという畏れを忘れてはならないとも思うのです。
上に引用した一文を読んで私は魯迅の「花なきバラ」ということばを思い出しました。
「トゲ」を持つことは大事だ。しかしあくまでも「花」があってこその「トゲ」だということを忘れてはならない。
これは私自身への自戒です。
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共感します。小生自身も、91年の来日当初、メディアの報道並びにそこから派生した「在日中国人が全て犯罪者であるかのようなイメージ」が
『在日中国人大全』をまとめた契機であり、現在の
出版、そして一般の人々同士の民間交流を促進すべく
日中交流研究所や
日本人の中国語作文コンクール、
中国人の日本語作文コンクール、
漢語角につながってくるからです。
確かに、批判も、犯罪報道も必要です。ですが、根幹を忘れず、「薄っぺらな」批判に偏ってしまった報道が何を生むか、ということを肝に銘じるべきではないかと考えます。また、民間の声が直接伝わる交流も非常に大事ではないでしょうか。共に日中に花を咲かせましょう。
氏の研究所は、今後の日中関係に大きく寄与されることでしょう。これからの活躍をお祈り申し上げます。
◇WEBサイト「21世紀社会動態研究所」
◇氏のブログ「社会動態エッセンシャル」