日中理解の懸け橋に 徳島華僑華人会、12日に発足
2009/4/8 10:39
中国人の立場から日中の相互理解や友好関係を深めていきたい-。徳島県内で長年暮らす中国人が中心となり、非営利団体「徳島華僑華人会」を発足させる。日中の生活習慣の違いを、実体験に基づいて在日歴が浅い同胞にアドバイスするなど、既存の日中友好団体とはひと味違った活動を目指す。
法務省の在留外国人統計によると、二〇〇七年十二月末現在、県内在住の中国人は約三千五百人。このうち、外国人技能研修実習制度に基づく研修・実習生は約二千五百人を占める。
研修・実習生は、受け入れ先の企業から安価な労働力とみなされる傾向が強く、賃金未払いなど労働トラブルが後を絶たない。一方、日中の生活習慣の違いから、円滑なコミュニケーションが取りにくく、誤解によってトラブルを招くケースもあるという。
同会は、研修・実習生をはじめ、徳島での暮らしに悩みを抱えている中国人の相談に乗り、中国人と日本人との相互理解を支援するのが狙い。在日中国人の立場から日本の生活文化の講習会を開くほか、スポーツや芸術を通して日中の交流を深めていく。
設立を呼び掛けたのは、県内で太極拳教室を開いている中国・丹東市出身の黄麗さん(44)=美馬市脇町。黄さんは丹東市が徳島市と姉妹都市関係にある縁で、太極拳普及のために一九九五年に来県した。現在は二百人を超える門下生を抱えて精力的な活動を続けるが、当初は言葉の壁や生活習慣の違いに悩み、なかなか徳島の暮らしに溶け込めなかったという。
そうした体験を基に、昨年四月に発足した愛媛華僑華人会を参考にして会の設立準備を進めてきた。設立大会は四月十二日に徳島市内の阿波観光ホテルで開き、黄さんをはじめ、徳島大学の教授や研究生、中国語講師ら県内在住の中国人十人が役員に就任する予定。会員は国籍や個人・団体を問わず、日中友好協会徳島県支部など他の友好団体に所属している人も参加できる。
黄さんは「周囲に相談できる人がいなくてストレスを抱えている在日中国人は少なくない。そうした人たちをサポートしながら、徳島で中国人を正しく理解してもらえる活動に取り組みたい」と話している。